今回はマスタリングについて学んだ知識をメモします。
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マスタリングとは
マスタリングは最後の仕上げの工程です。音をより良く、人にとって心地よく聴こえのよいものにするために色々と調整する作業です。どれだけ良い機材をもっているかがマスタリングの世界なので、機種の知識を持つことが重要です。
マスタリングは機材の性能勝負なところがあって、車で言うとゼロ4レース(400m直線レース)みたいなものだと言います。どれだけ良い機材をそろえられるかが良い音作りに直結するから、高い完成度を目指す人はみんな50万とか100万とかの車が買えてしまうほどのコンプを買い求める世界です。
音を割らせないためにまずはピンクノイズをしっかり目指しましょう。
マスタリングの流れ
マスタリングの手順の流れを簡潔にまとめると以下の通りです。
1, プリイコライザーでピンクノイズにする。
2, -1で、マルチバンドコンプでピンクノイズをなるべく維持したままコンプレションする。
*5バンドなら100.1k、4k,10k
*アタック遅め、リリース速め、レシオ低め(1.5か2.0)
3, -2で調整して行く。信頼出来るシングルバンドコンプレッサーを使ってもOK(こちらを推奨)。alpha compressor, FG-Xなど。
4, ポストイコライザーでコンプで崩れてしまったピンクノイズを補整する。
5, スーパーロー(25~30あたり)をHPF(ハイパスフィルター)でカットする。
6, リミッターで最終音圧を稼ぐ。
まずは、ピンクノイズを目指して音作りをするのが基本です。ミックスがうまくいかない時は、lowもhighも出ておらず音がmidに溜まりすぎていることが要因です。
15khz以上の音は、空気感を演出するためのものになります。
ピンクノイズはミックスの最後に確認しましょう。
ピンクノイズとEQ。EQの設定数値、そのほかEQの音調整について。
ピンクノイズに合わせる作業はEQで行います。人の曲を依頼された時は、ピンクノイズではないからといって再収録をお願いするわけにもいかず、EQでいじってピンクノイズにしていきます。
もちろん、EQでいじらずにすむのなら、いじらない方がいいです。例えばハイとローの調整だけで済むのであればEQはいじらなくてもいいです。EQをいじるというのは、良くも悪くも元の音をいじるということなので、音が機械的になり、加工した感覚が必ず出ます。
デジタルイコライザーの最高峰の、EQ Equilibriumでマスタリングをするのなら、peakの設定は250にしておきます。この数値はソーテック250を模した物で、この設定はあらゆるEQのお手本となっています。ちなみにソーテック250と似ているEQ432でも100万円以上するコンプとなっています。
マルチバンドコンプレッサーについては、Ozoneでも何でも良いでしょう。バンド数が多い方がいいです
ベースは100hz以下。
Low midが1khzを目指します。
Q幅は1.44がオクターブの幅です。
売り物の曲をWaves社製のメーターなどで測ると、現代では-5から-7の数値を示すことが多いです。一部楽曲では-2というかなり大きい数値を示すものもあります。
真のローは100以下の音です。
マスタリングの際は、アタック遅め、リリース遅め、レシオは低めにします。マルチバンドでそれぞれ同じ数値にして揃え、変に崩れないようにします。
0にするとポンピングが起こります。ポンピングとはコンプがすぐに外れる現象です。
レシオは1.5か2.0以下に設定します。レシオが高いと、いかにもコンプをかけています!という音になります。レシオが低い方がまるでコンプをかけていないような自然な感じに仕上がります。
Kneeが設定できるタイプなら、ソフトkneeに設定します。
最初にできたピンクノイズを維持するために、コンプで均等に平らに音を下げていきます。
ポストイコライザーを使った後、コンプで崩れてしまったピンクノイズを補正します。ピンクノイズの状態を維持したい!というのを前提に作業します。
本当に信頼するコンプであれば、シングルバンドでもOKですが、その場合100万円以上する機材が必要になったりします。
OzoneではポストEQが前提の作りとなっています。Ozoneは元々マスタリング用ソフトです。
手順はEQ→コンプ→postEQとなります。
そのほか。機材やコンプのメモ、オーバーサンプリングなど
色んなコンプの評判を見聞きして自分でメモしておきましょう。
MLA-2は50万円します。
SAIDERAという日本の業界最高水準のマスタリングスタジオがありますが、オノセイゲンさんは1時間の立ち会いでだいたい3万7800円ほどします。
マンレイなどガチンコで性能が良い実機のコンプレッサーはマルチじゃなくてもOKです。アナログコンプははシングルバンドでも味のある良い音が作り出せるのが強みです。
マスタリング用コンプは、一瞬だけスーパーパワーを出せます。ノイズ削減や音質低下を防ぐために、通常の周波数を超えた周波数を扱うオーバーサンプリング機能があります。
Wide bandwidthは-3dB htz to 450khzまで対応しています。
アバロン社製のAD2044は古くから聞こえない音の周波数に着目していたので、オーバーサンプリングに優れています。
人の限界が20kHz、CDの限界は44kHzの十倍以上です。
オーバーサンプリングx16とかできるプラグインもあって、700を超えるものもあります。もちろんPCはめっちゃ重くなります。
アナログでは無いデジタルプラグインでは、プラグインの中でオーバーサンプリングをするので、一つ差しただけで死ぬほど重くなるのを覚悟しましょう。もちろんアナログプラグインUADにもオーバーサンプリング機能はあります。
純粋にオーバーサンプリングをした方が音が良くなります。基本的にマスタリングの工程ではプラグインを一つしかつかわないので動作が重くなってもいいと言えますが…やはり重くはなります。
例としては、NEVE2254とか、FG-Xなど。おすすめ機種はelysia alphaプラグイン(セールで99ドルで買えることも)などです。
マスタリング専用のものはローレシオしかかけられなくなっています。これは音の自然感を残し、透明感を出すためです。
コンプはかかり方がかっこいいのを選ぶ基準にしましょう。
マルチバンドでは周波数を個別にいじれます。シングルバンドだと、ローからつぶれてしまいます。リリースでローからひっかかる場合もあるので気をつけましょう。
マスタリング専用コンプのよさは、すっごく自然な仕上がりで、まるでコンプをかけていないけれどしっかりコンプがかかり、リミッターで音圧をあげられるようになっているという点です。
アナログでもシングルバンドコンプを使った後は、ピンクノイズが崩れてしまいます。ポストイコライザーでピンクノイズを補正をするのを忘れないようにしましょう。
スーパーローは30hz以下の音です。ハイパスを入れましょう。データのレベルばかりくって、ろくに聞こえない周波数の音(スーパーロー)をカットします。BAXEQプラグインなどがお勧め。20~30hz以下が目安で、スーパーローは30~25以下の音です。
また、先にローカットをしてしまうとピンクノイズがそれに影響されるので、ローを持ち上げてしまう危険があります。そのため、ピンクノイズの調整が終わった後でローカットします。一番最後にローカットするイメージを持ちましょう。
本当の最後にリミッターで最終音圧を設定します。機会があればマンレイSlamなどの100万円以上する高級なアナログコンプを通してみたりするのもいいでしょう。
リミッターは一定以上の音がでない特性を持つのですが、それを利用して音圧稼ぎに利用されるようになりました。元々の機能はマイクを落としたときに機材を衝撃音から保護するためのものです。
PassiveEQなどについても調べてみましょう。
ピンクノイズにしていない初心者の人が陥りがちなことリスト
・不要なところが多い。
・素人は特に200hz付近に音がたまっている感じ。
・リミッターかけていくと、0を超えなくても先に溜まっている200hzの音が超えてしまい、結果として音割れしてしまう。
・市販の曲のような音圧を稼ぎたくてリミッターで音圧を稼ごうとするも、不要な周波数の音が大きくて、少し音圧かけただけで音の盛り上がりの山が0を超えてしまい、全体では0を超えなくても音が割れてしまう。
・不要な音が多いと音圧を稼げない=音圧をあげられないのでしっかりカットしましょう。
・だいたい200hzあたりで音が割れることが多いので、注意しましょう。
基本的にピンクノイズに調整していればリミッターで音圧を稼いでも割れることはないでしょう。
リンク集
・https://www.plugin-alliance.com/en/products/dynamic_spectrum_mapper_v2.html
元の周波数(ピンクノイズ)を維持しながらそのままコンプできる。しかし、コンプ後の音が微妙。
・https://www.plugin-alliance.com/en/products/elysia_alpha_compressor.html
マスタリングで超おすすめ。マスタリング用コンプレッサー。超自然な仕上がりに。
・https://www.miyaji.co.jp/MID/product.php?item=FG-X
マスタリングで超おすすめ。マスタリング用コンプレッサー。しかしバグがあり、重い。
・http://www.minet.jp/brand/waves/wlm-plus/
音量を測定するWaves社のメーター。Wavesラウドネスメーター