【ミキシングメモ1】 ピンクノイズ・PSPメーター・コンプレッサー・サイドチェインなど

今回はミキシングの知識を雑多にまとめます。個人的な学習メモです。

ミキシングとは?

ミキシングとはそれぞれの楽器やパートの音を統合して聴きやすいように調整する作業のことです。

ピンクノイズとは?

ピンクノイズとはイコライザーで調整する際の基準となる周波数の形で、全体の音バランスが低周波数から高周波にかけて右肩下がりになっているサウンドのことです。Ozoneといった一部のソフトではピンクノイズを視覚的に示すことが出来ます。誰でもピンクノイズに調整することで秀才レベルの全教科70点レベルのサウンドが作れます。

■ピンクノイズにこだわりすぎないこと
ミキシングの過程では、ピンクノイズにこだわりすぎないことが大事です。ピンクノイズはあくまで一つの音色を聞きやすくするためのものです。ピンクノイズはあくまでも一つの音色に対して心地の良い音の基準となるものであり、実際の楽曲においては複数の音の相互関係を意識しなければなりません。

音量調整はPSPメーターを使う

音量はPSPメーターで可視化して、目視で確認しながら調整します。音量調整はPSPメーターを目視で確認しながら行うのが原則です。最高音など調整の基準となる音を目印にして調整します。

コンプレッサーとは

コンプレッサーをかけるとは、周波数を全体的に圧縮して音量を下げる処置です。コンプレッサーは長方形(□)のボックスで周波数を圧縮している様子をイメージします。そのため周波数で極端に出っ張っている部分があるとその部分だけにしかコンプレッサーがかからず、うまくコンプがかかりません。先にEQをかけて凸凹を水平に近づけた方が均等に圧縮できます。均等に圧縮することがコンプを上手くかける原則です。

キックとベースがぶつかることをローがぶつかるといいます。ローがでっぱりすぎるとでこぼこの波形になります。波形は平らに、水平にしたほうがコンプをかける際の長方形の中にたくさんの波形が入ります。そうすることで理想的な圧縮&オーディオ編集が出来ます。キックとベースはぶつかりやすいため、キックが聞こえやすい部分をEQでカットしていきましょう。

サイドチェインについて

「バスドラムが鳴るタイミングでベースにコンプをかけたい。しかし、バスドラムとベースを同時に鳴らすと低音が安定しない。バスドラムが鳴っている時と鳴っていない時でベースの聞こえ方が安定しなくなって困る。」

こうした問題を解決したいときは、サイドチェインを使って、バスドラムが鳴るタイミングだけベースにコンプをかけて解決します。言い換えれば、指定したある音に連動してコンプをかける技法です。コンプレッサーの中でも有料プラグインで備えているものが多く、別のチャンネルではなく同じチャンネルの音をきっかけにコンプをかけられる機能が備わっています。競合するベースの中の低い成分をとりだしてそこにコンプをかけたりもできます。

ミキシング・マスタリングの原則

音同士の相互関係をしっかりと意識します。それぞれの音色の持つ音域を覚え、それぞれの楽器が邪魔をしないように調整します。

ある一つの音を目立たせたいときは、耳で聞いて判断するのも大事ですが、アナライザーで視覚化し、どの音源がどの音色の邪魔しているかどうかを整理することで、どの音色を目立たせたいのか調整することが出来ます。

倍音の性質とコンプレッサー調整 低音域の音に敏感だから高音域の音が外れてしまう現象

倍音は遅くてのろまなのが特徴です。金管楽器やフルートなどの高音域(倍音)はとても機敏です(シンバルも同様)。ですから、高音域の短い音はコンプやEQの枠からはみ出してしまうことがあります(高音域の周波数がEQ調整枠から外れてしまう・飛んでしまう現象。)。

スレッショルドが引っかかる部分をキートリガーといいます。周波数が鈍重なローの部分が先にひっかかります。そこにスレッショルドが反応してしまうため、高音域の機敏な音にスレッショルドが効かないということが発声します。

高音域にうまくかからないのは、コンプレッサーは低い周波数に依存して動いてしまうからです(スレッショルドの値)。高音域にうまくかからないと、高いバチンバチンという高音域の音を調整したいとき、調整が届かずすっぽぬけてしまう問題がでてきます。

そのためベースの位置にあるローをカットすることは無駄ではありません

ソフト音源の備忘録

EastWestなど、音源メーカーは収録するときに良い音で購買欲を刺激するために、ふんだんにリッチで豪華な音作りをしています。そのまま単体で使うと良い音に聞こえますが、全体の一部として組み込む時には音色の相互関係を考慮する必要があります。

ドンシャリとは

低音がドンドン!高音域がシャリシャリ響くような、絢爛豪華なサウンドのことです。ド派手サウンドには必須の調整で、高音域の倍音を活用してきらびやかな印象を与えます。

デジタル系のプラグインコンプレッサーは倍音が苦手。

テクノなどのジャンルでデジタルでしか出せない音を出したいときはデジタル系プラグを使います。デジタル系のサウンドでは不要な倍音は無い方がいいです。テクノとかはデジタル音が良いですね。アナログプラグイン系は余分な倍音が出るのでテクノでは不向きです。ものは使いようです。

バスコンプはまとめに使う。

バスコンプとは低音にかかるコンプレッサーのことで、最後の仕上げとして音全体をまとめるために使います。主にマスタリングで使います。ギターでもピアノでもドラムでも、収録には数多くのマイクを必要とします。そのため、仕上げの時に一つの楽器の音色として、複数のマイクで収録した同じ音源の音を一つの音色としてまとめる必要があるのです。同じ音色ならバラバラで聞こえてほしくないですし、ドラムはドラム、ギターはギターで統一したいものです。具体的にはリリースタイムを統一したり、アタックタイムなどを揃える必要があるのですね。

倍音とコンプレッサー調整について

基音をいじると音が変わってしまうので(音の劣化が目立つ)、基本的に音をいじる時は倍音部分をいじります。ミキシングの過程では元の音に影響しないようにするのが原則です。そして倍音があれば良い音であるとは限りません。元の音が良いかどうかで判断します。元の音がどういう状況なのか?が重要です。

ボーカルが収録された部屋の状況などでも倍音は変化します。

倍音は主に基音よりも高い音域に発生するので、倍音を加えるということはハイを加える(高音域の音を加える)のと似ています。そうすると、シャンシャンときらびやかな音になります(ドンシャリサウンドで活用できる)。

イコライザー(EQ)とコンプレッサーどっちが先問題

EQが先でコンプを後にかけるのが原則です。コンプレッサーは平均的に音を圧縮するため、均等に音をカットしたほうが音の質が保てるからです。コンプレッサーは長方形(□)の形で音全体を圧縮していると考えます。先にEQで周波数の出っ張りをカットしないと、コンプをかけたとしてもそのでっぱりの部分しか圧縮できないため、コンプレッサーの調整が上手くいかないからです。

まずは「EQでピンクノイズを基準に音を整える。」→「コンプをかける。」の手順を守りましょう。

マルチバンドコンプレッサーについて

参考→https://www.minet.jp/contents/article/multiband-compression-how-does-it-work/

超重要:イコライザーやコンプレッサーはカット方向に操作する。

イコライザーでの調整は、余分な音をカットする方向で作業します。カットとは逆のブースト操作、つまり上方向には操作しないようにします。実際の作業は10回ミキシングする機会があるとして、そのうち1回ブーストするかどうかレベルです。まずは不要な音をカットすることから考えます

イコライザーは減らすのは得意ですが、周波数を増やすのが得意なイコライザーはほとんどありません。100万円以上するアナログ系のイコライザーになるとそういったことが得意な機種もありますがほとんど例外です。

その例外の一つにデジタルイコライザーの最高峰DMG AudioのEQuilibriumがあります。これは音をブーストしても音の劣化が起きにくい非常にハイクオリティなデジタルイコライザーです。
https://www.dmgaudio.com/products_equilibrium.php

EQはカットで使うことを肝に銘じましょう。ブースト方向(上方向、音を増やす)はもしすることになっても控えめに行いましょう。

コンプレッサーの種類など

コーヒーを煎れるやり方と同じで、コンプレッサーも突き詰めればその人それぞれの好みの問題となります。色んなコンプレッサーの種類があるので、簡単にまとめました。

オプティカルコンプ:仕事が遅い。ギターとかシンバルとかに向いていない。ぬるぬるしていて、ぬめっている感じ。質感があるので、ボーカルに人気。元の音の質感を残したいときに使う。例えばボーカルは個性が大事なので、生音を大事に、個性を大事にしたい時に使うもの。

FETコンプ:キビキビ動く熱血仕事人。早い。音作りが出来る。ドゥンという音のドゥを飛ばしてンの余韻だけを伸ばしたりすることができる。アタックタイム、効果時間をいじるることでの音作りが得意。リリースタイム、アタックタイムの音作りが出来る。スネアのターンという音の余韻が長くて邪魔だと感じたときに、リリースを短くしたりするが、こういう変化に得意なコンプ。アタックタイムは効果時間のこと。

真空管コンプ:今はほとんど見かけられず、選択肢も少ないコンプ。倍音が顕著に加わるため、アナログの温かみがほしい時に使うコンプ。現在ではアナログ感がほしい時は選択肢が少ない真空管コンプを用いることは少なくて、多くはアナログシュミレータープラグインなどを使う。

参考リンク集

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_opto_pedal.html?utm_source=Plugin+Alliance+News&utm_campaign=5998771511-Xmas_Sale_Email_8_121517&utm_medium=email&utm_term=0_9ddd768161-5998771511-71886745&ct=t(Xmas_Sale_Email_8_121517)&goal=0_9ddd768161-5998771511-71886745&mc_cid=5998771511&mc_eid=49ccea428d
Brainworx bx_opto Pedalプラグイン。

https://www.audiodeluxe.com/
オーディオデラックス。音楽プラグインなどを安く買えるサイト。

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_opto.html
Brainworx bx_optoプラグイン。

http://teramuraso.hatenablog.com/entry/2017/01/20/233000
参考:Cubaseのサイドチェインコンプについて。

http://dtmmethod.com/cubase-sidechain
参考:Cubaseのサイドチェインの使い方。

https://www.g200kg.com/jp/docs/dic/sidechain.html
参考:サイドチェインとは

https://www.spitfireaudio.com/shop/a-z/hans-zimmer-piano/
参考:ピアノ音源の収録。多くのマイクが用いられ収録されていることが分かる。バスコンプで統一感を出すことも必要。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%A0+%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi0tpDHxI3YAhUBLpQKHRtrBJQQ_AUICygC&biw=972&bih=1275#imgrc=7BAoiI0v-kay8M:
参考:ドラムレコーディングの現場。一つ一つのドラムに数多くのマイクが用いられていることが分かる。

https://www.pspaudioware.net/register/store.php
PSPメーターを買えるところ。

https://ec.crypton.co.jp/pages/prod/vocaloid/mikuv4x
初音ミク

https://www.google.co.jp/search?q=OZONE8&oq=OZONE8&aqs=chrome..69i57j69i61l2j0l3.6636j1j7&sourceid=chrome&ie=UTF-8
OZONE8のGoogle検索。とにかく超便利なので、オーディオの原理原則を理解しなくてもミキシング出来る危険性がある。