【ミキシングメモ4】コンプ処理、フェーダー処理、ボーカル処理など

今回もミキシングの知識を雑多にまとめます。個人的な学習メモです。

効果音の処理について

効果音は一瞬しか鳴らない音なので、ピンクノイズにしなくてもいい音です。ローの部分に音がたくさんあってもいいでしょう。むしろそうした雑多な音があるのが効果音の特徴かもしれません。

CubasePro付属のCurveEQについて

CubasePro付属のCurveEQはSlope0がピンクノイズを示すのにちょうど良い値です。CurveEQのマッチング機能は機械的で、無理矢理やっている感じです。実際に調整しているとやり過ぎている感覚、無慈悲に周波数をカットしすぎていると感じられる点も多いです。

これはCurveEQがマッチング機能にお金をかけていないためで、単なるCubaseProのおまけ機能としてついているだけだからです。

Ozoneはこのピンクノイズとのマッチング機能が楽器別に、とても自然に調整してくれます。

コンプで自然さがなくなる

コンプをかけると音の自然さが無くなります。具体的にはピアノ演奏でいう表情をつけるためのフォルテやピアノといった表現が無くなります。このため、コンプレッサーはお子様が使うものだという人もいます。

特にブルースのジャンルではコンプを使わない人がいます。これはコンプを使うと楽器の持つ生々しさや情感が減ることに由来しています。

アコースティックなサウンドには自然さを損なう恐れのあるコンプはかけない方が良いといえますね。

一方でデジタルなサウンドやロックのようなコンプで加工した音が求められるジャンルもあります。ただ、なんでもコンプをかければいい訳ではなく、それぞれ音楽的な判断が必要です。

ちなみにリンドルオーディオ(Lindell Audio)のプラグインはアナログUADに近いようです。

音の自然さを残すためにはフェーダーで音を調整する

音の自然さを保つためには、コンプで音をいじらず、フェーダーをいじると自然さを残せます。

要するにコンプは音の大きさの処理なので、フェーダーで済むのであれば音を破壊しないフェーダーで調整した方がいいという訳です。

また、フェーダーをいじる時もDAWソフト付属のフェーダーを使わず、プラグインのフェーダーを使うと効果的です。それぞれのプラグインを通した音になるので、1176といった名機を通した音がフェーダーを通して出来るからです。

数値はいじらずとも、プラグインに通すか通さないかだけで音が変わってくるので奥深い領域です。

プラグインのOutputをいじることで、DAWフェーダーの大きさをいじることができます。アナログ感を出したいときは、0に設定するのが一番良いでしょう。フェーダーは0付近が一番良い音が出ます。

VUは低音に反応する。

VUは低音に反応します。

EQの種類

パッシブEQ(イコライザー)は、コンセントや電源が要らないタイプのEQです。USBタイプでパソコン本体から電源を供給してもらうものは、電源供給の方式が違うので、作られる音も違います。音の信号は電圧に繊細です。アナログ機材を使う時は電圧や電気関連の知識は持っていた方がいいでしょう。

ボーカル処理とフェーダー調整

ボーカル処理ではフェーダー書きの作業が一番重要です。人間が歌うと強弱が特に激しくなります。あえて表現として残す場合もあります。ここ5年ぐらいの技術で、フェーダー書きのプラグインが出るようになりました。WavesのBassRider、VocalRiderなどです。これらはコンプ感をなくしたいときに使います。コンプをかけると多かれ少なかれコンプをかけた音になってしまうので、ただ音量をいじりたいだけであれば、フェーダーを使えばいいのです。

コンプをかけずに、音の大きいところは下げ、低いところは上げるという原理はとてもシンプルなもの。そのためフェーダー調整をするフェーダー書き=フェーダーを書く作業は職人芸と言われています。これまではベテランの音響さんが手作業で調整していた工程ですが、プラグインで自動的に行ってくれる時代になりました。

リップノイズとは

リップノイズとは、粘性のつばから発生する、ブチッ!クチュッ!という音です。

プロのCDでも入っているジャンルもあり、結局はリップノイズの有無よりも歌の上手い下手でどの録音を使うのかは決められています。

レコーディングの現場では、こうしたリップノイズを防ぐために、ドリンクをコーラといった砂糖水ではなく水にしてもらう事もあります。粘性の唾液がリップノイズの原因だからです。

フロアノイズ、女性ボーカルの処理

ボーカルに含まれる余分な音域はフロアノイズといいます。220~660hzが女性ボーカルの基音ですが、録音している場所やフロアに反響する220以下の低音部の音が入ってしまうこともあります。こうした部分をズバッと切ってしまうのが必要です。

女性ボーカルの基音は220hzが最低音なので、それ以下の音はイコライザーでバサッとカットしましょう。

ボーカル処理と関連して、ノイズがうるさいときにもう一度歌ってもらうこともあります。息を吸う音もノイズとして入ってしまう時もあります。

またしてもピンクノイズ

ピンクノイズはミキシングで最も重要な概念なので、何度でもメモします。ピンクノイズの基本は右肩下がりの波形と言うことだけですが、無理矢理ピンクノイズを作らなくても良いです。求める音に応じて音を編集していきましょう。

その他EQメモ

・シンセなどは「倍音」成分を動かしながら調整していきます。
・「キーン!」というハイの音をフィルターにかけるとこもりすぎた音を改善することができます。
・Midを減らすことは、すなわち相対的にハイを増やすことになります。
・EQは原則カット方向に使うことを忘れないようにしましょう。

ファミコン風のチープな音やシンセなどの倍音を多用した音はEQで思いっきりいじり倒しても良いでしょう。このようないじっても良いチープな音は、いじること自体がその音の味となります。普段はEQでは控える上方向の操作(=ブースト)をしまくっても良くて、むしろやり過ぎだ!というぐらいにいじり倒してもいいかもしれません。

それでもだいたい30デジベルぐらいが元々の音がチープな場合の最大調整音域でしょう。

逆に言えば、30デジベルもの音をいじってもしょぼい音と感じるのであれば、元々の音がしょぼいということになります。

・ストリングや人間の声は繊細なので、アナログ感を大切にするべくなるべくEQをかけない方がいいでしょう。

・シンセで音を作り、それをEQに渡して音をいじることは普通に行われます。ブーストも行われます。

・元々の音から判断し、崩してもいい音や、自然のそのままの音を大切にしたいなど、目的に合った音作りをしましょう。

リンク集

http://www.ikmultimedia.com/products/trclasseq/
IKmediaのClassicEqualizer。無料で使えるが、会員登録とシリアル番号の入力が必要。

https://soundevotee.net/blog/2016/08/22/compression_is_for_kids_by_bruce/
「コンプレッサーはお子様のもの。」by イギリスの有名なベテランレコーディングエンジニア

https://www.plugin-alliance.com/en/products/spl_free_ranger.html
spa free rangerプラグイン

https://www.plugin-alliance.com/en/products.html
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