【楽器法】ホルン(備忘録的メモ)

今回は演奏するのが難しい楽器ホルンについての知識をまとめました。個人の学習メモなのでご参考程度に。

ホルンの特徴

ホルンはラッパのような形が特徴の楽器です。山伏が吹く角笛などが連想されます。

そもそもホルンは最初は楽器として使われていませんでした。ホルンの起源は郵便ラッパで、さらにその郵便屋のルーツは肉屋でした。昔は冷蔵庫はないので、食べきれないものを隣の村まで売りに行き、その際にホルンの原型となる音が鳴る楽器を持って行ったとか。隣の村までに行くついでにこの手紙を、という感じで郵便が始まりそのうち手紙だけが独立して郵便というシステムが生まれたそうです。

そしてホルンには郵便ラッパとしての歴史があり、「届けに来た・売りに来た」ことを伝える道具でした。その名残で世界中の郵便局の会社はラッパをロゴに使っています。

歴史的には信号用途としての役割が強く、ただ大きい音が出ればそれで充分とされてきました。なおトランペットなども同じ信号用途での役割だったそうです。楽器のルーツを知ると色々と面白いですね。

楽器としてのホルン

楽器としてのホルンは倍音しか出せず、倍音しか出せないため基音について知っておく必要があります。注)ホルンでも基音を出すことが可能との意見もあり。

ホルンの楽器の特性として、出せない音が絶対に出てくる楽器です。そのため昔は替え管を使い、出ない音が出る箇所になる度にいちいち交代していました。それだとさすがに不便なので、バルブシステムが発明されました。バルブは音を押すと半音分長くなります。現在は管の長さを伸ばしたダブルホルンが主流となっています。

ホルンの種類として、シングル、ダブル、トリプルホルンがあります。ホルンはF管が主体です。Fの基音は中央から2オクターブ下のさらに下のドシラソファになります。

一番長い管で3.6メートルもあります。管が長い分、音を出しにくいので一番扱うのが難しい楽器と言われています。

ホルンは音に深みのある、丸みのある音が特徴です。オーケストラでは木管楽器として扱われ、木管五重奏にホルンが入っています。強く吹けば強いラッパっぽい音が出ます。金管の音も出せるのが特徴です。

つまりホルンは木管と金管の接着剤であり、仲を取り持つ音が出せる楽器なのです。

上部吹奏・倍音など

ホルンで得られる倍音率一覧は必ず覚えましょう。ホルンは16倍音まで使います。

音の幅が上に行くほど狭くなっていきます。幅が狭いので、音を外しやすくなっていきます。そのため高い音ほど演奏に熟練が必要になっていく楽器です。

管が長い割に幅が狭いため、構造的に基音が出すことができないor出しにくいのがホルンの特徴です。

ホルンはそのため第2倍音から読んでいきます。管の長さが3.6メートルなら3.6メートル分の音が出せるはずですが、現実的には2倍音以降の音しか出せないのがホルンです。楽器の管が細い分、管の長さを「半分」と考え、鳴る音を予想しましょう。

また1.8メートルの管を持つ楽器を半管楽器といいます。全管楽器は半管楽器の逆です。全音楽器は最低音を出すことができる楽器です。

■全管楽器と半管楽器について
金管楽器の分類の一つです。一般に金管楽器では、管の内径が細いと高い音は出しやすいですが、低い音は出しにくくなります。理論上は、管の長さに対してある一定より内径が細くなると、管の長さから導かれる最低音 (基音) は鳴らず、第2倍音から上が鳴るということになっています。そうすると楽器の最低音を鳴らすには、本来必要な長さの倍の長さが必要ということになります。これは言い換えると、管長の半分しか鳴っていないということなので、こういった金管楽器を半管楽器と呼びます。これとは逆に、管の長さから導かれる最低音を鳴らすことのできる金管楽器を全管楽器と呼ぶわけです。現代の金管楽器の中で全管楽器と言えるのはチューバ(ユーフォニウムも含む)だけで、他の楽器はすべて半管楽器ということになっています。しかし演奏技術の向上によって、半管楽器でも疑似的に基音を鳴らす奏者も数多く存在します。またトロンボーンでは第1~第4ポジションだけは基音を鳴らすことができます。トロンボーンのこれらの音は特別にペダルトーンと呼んでいます。

シングルホルン・ダブルホルン・トリプルホルン

管の長さと太さが音に影響します管の長さが短いほど基音が高くなります

シングルホルンでは全ての音が出せますが、とてもむずかしいため、管の長さを伸ばしたダブルホルンが主流になっています。

管の長さもあり、単純にホルンは楽器が重いです。特に3倍の長さを収納するトリプルホルンは激重です。

基本的に楽器はバッハの時代(=日本で言う戦国時代)から変わっていないものが大半ですが、トランペットやホルン、フルートなどの金管楽器は時代が進むにつれてどんどん進歩しています。フルートのEメカやトリプルホルンなど、演奏者が演奏しやすいようにどんどん進化していきます。昔は考えもしなかった楽器をサポートする仕組みができあがりつつあるのです。

古い管弦楽法の本は現代に登場している改造パーツや追加メカが載っていないため鵜呑みにしない方がいい場合がある事を頭の隅っこに入れておきましょう。(フルートに使われるEメカとかも載っていない。)

ダブルホルン、トリプルホルン、ホルンは基音は出ないと考えられており、ベダルトーン(基音)を出せるかどうかは管の長さの比例で決まります。

また、管が短いと高い音が出せません。ホルンは3.6mの長さの割には、100%に音がでない構造になっています。

現代のホルンは完全5度上の音が出ます。

ホルンの用例など

トリプルホルンはモーツァルトの楽曲から見られます。自然ホルンでは倍音率しか吹けません。しかし、ホルンはラッパなどとは違い、人の手を入れることができます。これをストップといいます。ホルンは他の金管楽器に影響を与える存在でもありました。

ホルンは倍音率の音しか出せないはずが、普通にメロディを扱えるのは、ストップ奏法というホルンの中に手を入れることで音程を下げることができるからです。音程調整のために、ホルンはずっとラッパの中に右手を突っ込んでいます。手を深く入れて演奏するゲシュトップ奏法も覚えておきます。

楽譜に書かれている1オクターブ下の音が出るのがinCのホルンです。ホルンはF管の長さが3.6mです。

ホルンは倍音を操るので、例えば8倍音はどの音か、をしっかりと意識しなければなりません。そして普通に吹くと鳴る音はどんな音かを理解しましょう。

倍音率以外の音をどう出すかについて。例えばラは七倍音の位置で、シのフラットを吹いてストップ奏法で吹くことで再現します。

倍音率と平均律はずれているので、そのズレを意識しましょう。平均律におけるシのbとは半音の約3分の1ずれています。

オクターブだけが平均律と一緒です。ファ#は11倍音ですが、本によってはファのナチュラルと書いてある場合もあります。

ファ#は半音の半分ずれており、ファとファ#の間の音が実際には出ています。

なお、100セントのズレで半音のズレとなります。ラはラのフラットに近い感覚です。平均律との微細な違いから、少しストップ奏法するだけでも充分であることが分かります。平均律とのズレを意識し、出したい音に近づけていきます。

ゲシュトップとストップ奏法

ホルンの中に手をつっこむ深度で音程を微妙に調整できます。ストップ奏法は音程を下げることしか出来ないため、元々平均律とのズレで低い音になっているのであれば、浅く手を突っ込めばよいということになります。

演奏する際は、常に音程と右手の突っ込む深さを意識しましょう。

ゲシュトップ奏法を使うとくぐもった音が得られます。

16倍音のファが現実的な最高音です。しかしこうした極限の高さのファは中学生では出せないため、扱いに危険な高さの音といえます。

右手でベルを密閉状態にして、吹き込む息の圧力を増し、約半音高い鋭い金属的な音を出すゲシュトップ奏法は、曲の中で効果音として使われます。楽譜には「+」の記号で指示されています。

ストップ奏法しないところはきれいに音が出ます。そのためストップ奏法とそうではないところは音が統一されなくなる危険があります。作曲する際は、この音色の変化を頭の中でイメージする必要があります。

演奏の表現ではピアノとかピアニッシモは可能ですが、くぐもった音が気になってしまう時もあります。
シューベルトのホルンを用いたCDアルバムはバルブシステムを使っているホルンを使用しているため、手を使って半音下げることはしておらず、くぐもらずきれいな音で収録されています。

バルブホルン

19世紀中ごろになって、現在のようなバルブによって管の長さを瞬時に変えることのできる「バルブホルン」が開発されました。バルブホルンの登場によって、ホルン奏者たちは安定した半音階を演奏できるようになりました。

バルブホルンの発明される前の時代の曲は、直に手を入れているのでどうしてもくぐもった音になります。この時代の音程があやふやな場合を再現したいのなら、ピッチベンドで少しずらすと良いでしょう。

ラヴェルはバルブホルンを使わずに、わざわざ自然ホルンで演奏するように指定しています。自然ホルンはこれはこれで味があって良いものです。Youtubeなどで動画を見ると、ラヴェルの指示に従わずバルブホルンで吹いちゃったっていうのが多く見られます。今となっては自然ホルンを用意するのは大変であり、守られないことも多いのです。

低音部をどう鳴らすか

ホルンが低い音を出すにはバルブシステムが必要でした。

バルブシステムとは空気を素通りさせることで、ピストンを押すと空気が迂回路を通ることになります。何もなければ空気がそのまま流れてくるため、一時的に管が長くなります。

管楽器は管の太さにかからわず、長ければ長いほど低い音になります

短い→高い音
長い→低い音

バルブシステムによって一時的に管の長さを長くするため、押すバルブによって、全音低く鳴らしたり出来ます。
今ではF管とB管の切り替え器もあります。

その他知識

ホルンも他の楽器と同様に、何も押さない状態が奏者としては楽です。

金管では同じ音を出すのに運指が何通りもあります。運指に関して、完全に奏者にお任せであり、作曲家は運指は指定することができません。

管の長さはFの方が管が長くなります。F管は3.6メートルの長さがあります。Bb管では2.7m、ハイF管では 1.8mの長さです。ハイと名前につく方が短く、管が短いほうが高い音だせます

丸みのある暗くて優しい音がでるのがホルンの特性です。このホルンの特徴は、管が長いから得られる音です。長い分低い音が単純に出せるし、ホルンの特徴的な音が出せます。

管が短くなるにつれて輝かしく強く明るい感じの音になりトランペットに似てきます。高い音は出しやすくなる反面、ホルン特有の味のある音は出しにくくなります。

高い音を出したいのなら、Bb管などの短い管のホルンで出せばいいのですが、それだとやはりF管のようなホルンの特徴ある音が出せなくなります。そこでダブルホルンが発明されました。

時代が流れ、もっと高い音を簡単に出したい想いから、トリプルホルンが発明されました。トリプルホルンは最重量で、部品も多く運指の可能性もたくさんあり、ややこしくて難しい楽器です。

昔の自然ホルンに一番近いのはシングルホルンです

ホルンの最低音は低いシです。マーラーの8番で使われています。

譜面は記譜されているものから、完全5度下(半音7個下)で読みます。完全4度上(半音五個上)で読むものもあります。

作曲家としては、移調で書かれている譜面を読めるようにしましょう。

ホルンは音域が広いため、重々しい音も出せます。

音の特徴とホルンの奏法まとめ

ホルンの奏法を考えるときは、3.6メートルの巨大ストローを吹いているところを想像してみましょう。

ゲシュトップ奏法
ゲシュトップ奏法はプラスマークで表記されます。手を突っ込んで短くすると、金属的な音になります。「ぷわーん」という音です。ゲシュトップ奏法は効果音的に使われます。

ストップ奏法
音程変化に使われるストップ奏法はリズミックで、和声的に使われたり、旋律的に使われる時もあります。雄々しくメロディを吹くときももちろんあります。

ホルンのグリッサンド奏法
ピアノみたいにきれいに鳴りません。

・お客さんに音を向けての指示
ホルンには「お客さんのところにラッパを向けて」という指示もあります。基本的にホルンは音の出る穴の方向が常にお客さんの反対方向に向いています。これをお客さんのところにラッパを向けるよう指示することで、観客としてはでっかい迫力ある音が聴こえるようになります。

ゲシュトップKeyとは
ゲシュトップは手を深くラッパに突っ込むことですが、ゲシュトップのために手を突っ込むと音程調整が出来なくなります。高価なホルンにはゲシュトップKeyというものがあり、そちらで音程を操作できるようになっています。音程を下げるためのKeyです。

・トリル
ホルンのトリル奏法はできなくはない感じです。ただF管で3.6mもあるので反応は鈍いです。3.6mの巨大ストローを吹いているところを想像してみてください。

・リップトリル
唇の緊張だけでトリルをする方法です。グリッサンドと同じですが、ホルンのトリルは遅いので、効果的でないことも多いです。

・重くて鈍足
ヴァイオリンやピアノと違って音が重いです。でもそこがホルンの味ともいえます。

・パンニング
「ふーふーふー」という細かい連打のことです。ホルンでもできますが、管が長いため、にぶくなります。そもそもの構造として楽器が長く重いことが鈍重さにつながってきています。

・他の楽器との比較
管が長いホルンと比較して、トランペットは管が短いため「凄くはっきりとした、ピシッとしたアクセント」が得られます。管の長さとなる音について意識してみましょう。

・フラッターツンゲ(ドイツ語)
空気を吹くとき、舌を光速で震わし、その状態で吹くことです。フラッターツンゲ(ドイツ語)、フラッタータンニング(英語)と言います。奏者には結構きつく無理を強いる奏法です。中学生に吹かせるには酷な奏法です。

・ホルンの使い方
ホルンはオーケストラでは欠かせない存在です。4本組み・4本セットで、1・2ホルンが和声の四声体を担当します。ピアノなどのメイン楽器の背景で、オーケストラの壁紙みたいな感じで和音を充実させる役割です。二本ずつセットでユニゾンさせたりもします。オクターブ奏法やユニゾンは力強くいかにもホルンらしい音がでます。

ホルンは一概に言えないいろんな用法があるので色々研究しましょう。

参考リンク

郵便ラッパ
ゲシュトップフト
倍音と実際に出る音のズレ