様々な拍子、変拍子、ビート上のアレンジ

アレンジ理論は4拍子が基本ですが、実際の楽曲には様々な拍子があります。今回は基本となる4拍子以外の様々な拍子のアレンジについて見ていきましょう。

3拍子や5拍子など変拍子の区切り

3拍子、5拍子、7拍子はそれほど聴かれる拍子ではないため、4/4拍子のような標準となるリズムというものがありません

そのため、どこで拍を区切るのかハッキリさせるため、バスドラムの置く位置がとても重要になります。バスドラムの位置が強拍、弱拍の箇所を決めると言っても良いでしょう。5拍子で2+3のブロックにしたければ、頭にシンバルやオープンハイハットを配置して強調します。全ての拍子には強拍と弱拍があります。その組み合わせは拍子によって決まります。1拍目は常に強拍となります。

3拍子について

オーソドックスに考えると3拍子の場合は1拍目が強拍となり、2、3拍子が弱拍となります。基本は「強弱弱」ですが、「強強弱」、「強弱強」など強弱のパターンで変化を作ります。3拍子はシンコペーションを付けにくいため単調で飽きやすい曲調となるので強弱の変化で面白さを出します

3拍子の場合、4拍子に比べて1拍分要素が少ないため、単調にならないよう自由な形への応用が求められます。スネアの省略やスネアの代わりにサイドスティックを用いたりします。

コード変わり目にはルートが鳴っているようにしましょう

3拍子はカッコ良さが出しにくいので、工夫して様々な要素を組み合わせてカッコ良さを生み出します。カッコ良さを出そうとするとより難関な曲に近づいていきます。

複雑なリズムの対処法:一つが遊んでいれば他は引き締める。

2ステップで構成されるシンセサイザーを利用したとても人の手で演奏できない複雑なリズムは、2つの全く異なるリズムが同時に鳴るような感じで構成されています。これをうまくまとめる為には例えばm-floの楽曲などはリズムはハチャメチャ遊んでいますが、ベースやコードの切り替えは真面目にキッチリ拍を刻んでいる事が多いです。どこかで遊んでいるパートがある場合は他のパートがしっかりすることで曲のバランスを引き締めます

昔の曲はベースもコードも複雑なリズムを刻む傾向にありますが、観客の手拍子が合わなくなるので、難しい所ですね。

3連系のリズム

ロッカーバラードと呼ばれる8分の3連を基本にしたリズムがあります。単純な形が好まれ、ピアノの8分連打などは良く用いられます。

8ビートシャッフルはブギーと呼ばれ、比較的スローテンポでもノリの良い躍動感を感じさせるためブルージーな楽曲(ブルース)など広く用いられています。

7拍子などの変拍子はプログレッシブロック(プログレ)に多くなります。音楽表現の可能性として、3拍子+8拍子のハイハット、3拍子+16拍子などもあり、シンコペーションを入れたりします。

シャッフルとシンコペーションなど

16ビートの3連リズムはそのままの形で使うと音数が多くなりすぎてうるさい感じになりやすいため余り使われません。使う場合は中抜き3連のシャッフルとして使います。全てのタイミングを埋めるような符割りで演奏できるのはハイハットだけとなります。そのまま実音を記譜すると楽譜も見づらくなるので簡略化して記譜します。(その場合は冒頭でその旨を伝えます。)

16ビートのシャッフルでは他のパートは少ない音数でシンコペーションを多用し、難しいリズムを持たせます。細かい刻みの中で跳ねているリズムを表現します。16ビートのシャッフルリズムはこの跳ねたリズムを表現するためにテンポがゆったり目になる事が多いです。

シャッフルをどの程度まで後ろにズラすかで聴く人の印象も変わります。スローテンポだとハネが分かりやすく感じ取れ、テンポが速いとハネやシャッフルを感じさせない作りになります。

リズムの進化が進むにつれて、聴く人の耳も進化していきました(昔は複雑すぎると捉えられた細かいシンコペーションやリズムを感じとれるようになった)。

特別な拍子のリズムアレンジ

5拍子や7拍子などの変拍子は5=2+3や7=3+4などというように単純拍子の組み合わせとして考えます。同じ数字で表される変拍子でもその強弱やパターンの組み合わせは様々。その解釈の仕方によってアクセントの位置が決定されてリズムアレンジにも変化がでますこの解釈は終始一貫する必要も無く、ブロックごと変えるなどして変化させることも可能で、これが変拍子の面白いところです。

3拍子x2小節を1つのリズム単位とするのもアリです。

拍子の最小単位は2、3拍子です。4拍子は2拍子二つ分と考えられます。

5拍子で4拍子+オマケで1拍という構成の仕方をしてしまうと、せっかくの5拍子の色が失われてしまうのでもったいないです。せっかく変拍子を使うのであれば、それを活かしていきましょう。

曲中における拍子(ビート)の切り替え

拍子やビートが曲中で変化することは珍しいことでもありません。転調と同じようにリズムについても前後の関係性を把握する必要があります。

8ビートが16ビートもしくはその逆に変化する場合は直接つなげるだけで済ませることもあります。

■リズム構造の変化がいつの間にか果たされるようにするには
込み入ったフィルインを入れ一旦アクセントの位置を分からなくした後にリズムを変えたり、ブレイクなど直前までのリズムやノリを排除して新たなビートに置き換える方法があります。共通しているのは、リズムの変化を付ける前に前から続いているリズムやノリを一旦白紙にすることです。