今回は初学者向けに転調についての知識を分かりやすくまとめます。セカンダリードミナントや仮のI、裏コードなどの概念はそれぞれ別ページでまとめています。転調を試みる際の最初の備忘録としてみてください。
転調とは
転調とはそれまでの調、スケール、Keyから離れて別の調に移ることです。転調には大きく分けて、「一時的な転調」と「本格的な転調」があります。
■一時的な転調
一時的に別のキーに移り、直ぐに元のキーに戻る転調のことです。元のスケールの大きな流れの中にいながらも、アクセントや勢いづけで使われる転調です。曲の中のカッコイイ部分、最も美味しい部分で使われています。代理和音の裏コードやツーファイブなどと絡めて頻繁に使われます。
■本格的な転調
一時的ではない、曲単位のまとまったブロックでの転調のことを言います。Aメロ、Bメロ、サビのブロック単位で調を変えたり、曲の後半で全部半音あげるなどして変化を加えます。ベートーヴェンのピアノソナタなど古典作品にはとても分かりやすく本格的転調が使われている例が豊富です。
まずは転調についてはこの2種類があると覚えておきましょう。そして、まずは一時的な転調を使いこなせるようになるのが第一のステップです。
一時的転調の諸注意 転調するときは、元の調との共通音に注目する。
転調は曲に揺らぎをもたらす要素です。なるべく元の調との共通音が多い音をメロディの目立つ部分やコードチェンジの瞬間に使うとスムーズな進行になります。
あえて元の調とは離れた音を使う事で調と調の間の断層感を引き立たせる手法もありますが、上手に使わないと汚く濁って聴こえてしまい、違和感が残ります。一時的転調では、まずは元の調との共通音が多いコードを採用したり、メロディー部分に元の調との共通音を使うなど工夫をこらしましょう。
転調ではコードとメロディの関係を常に意識して、どんな転調でもスムーズに繋がるよう調整することに熟達しましょう。
複数の異なる転調を同時に使うと前後のつながりが悪くなってしまいます。一時的転調の場合はあくまでも一時的な転調に留めることを意識し、闇雲に代理コードの代理コードやサブドミナントマイナーや裏コードを連続して続けないようにしましょう。元のキーが分からないままで調を崩壊させるのは初期の段階では避けましょう。
また、セカンダリードミナントやツーファイブの仮のIを代理コードに置き換えるのは避けてください。どちらも仮のIが合ってこそ成り立つコードなので、その仮のIを置き換えてしまうと前のコードの理論的裏付けが無くなってしまいます。
絶対にこれはダメだ、という禁止ルールは音楽にはありませんが(理論は常に後づけである)、常にバランス感覚を意識し、転調を巧みに仕掛けて調の揺らぎを意図的に作れるようになりましょう。