エオリアの7度について。導音を求めるクラシックの和声学。

エオリアの7度とはクラシックの和声の理論です。クラシックに限らず、BGMでよく使われる技法です。

エオリアの7度とは?導音を求めるクラシック和声学

クラシックの和声学では短調においてV度のコードが登場するとき、ほとんどの場合ハーモニックマイナーのV7を使います。ポピュラー音楽では導音が存在しないエオリアンはごくごく普通の使われたかですが、当時のクラシック作曲家にとって導音の有無は大きな問題でした。導音の存在を導入するためにわざわざハーモニックマイナーというスケールを作ってしまったほどです。

古典和声が成立した時代のクラシック作曲家にとって、ナチュラルマイナーは自然ではなくむしろハーモニックマイナーこそが短調においての基本的な姿と考えられていました。ナチュラルマイナーを使うことは導音がないため、むしろ特殊な用法と考えていたといいます。

具体的には古典和声においてはVmや♭VIIといったドミナントコードで導音がない事は避けるべき事でした。この使われないナチュラルマイナー=エオリアンの持つ7度の音をエオリアの7度音といい、これらのエオリアの7度音を含むコードはエオリアのIII、エオリアのV、エオリアのVIIと呼ばれ、特殊な音遣いとされていました古典和声において導音を伴わないVmや♭VIIは特殊な和音なのです。

この導音がない特徴を興味深く捉え、活用し始めたのがロマン派の作曲家たちでした。彼らは導音を持たないエオリアンスケールの特徴をメジャースケールに当てはめて使いました。もともとエオリアンスケールには導音がありません。それをメジャースケールに当てはめるとメジャースケールで導音を持たないスケールができあがります。

導音を持たないということは、主音と第7音が全音関係になります。メジャースケールの導音と主音を全音関係にする=導音を半音下げるという形でエオリアの7度は作られます。

例えば、Cアイオニアンスケールにエオリアの7度を加えるとミクソリディアンと同じスケールになります。しかし、発生の経緯が「メジャースケールの5番目の音から並び替えた」訳ではないため、スケールの用法も異なります。

エオリアの7度を組み込んだメジャースケールは、元のメジャースケールに基づくメロディーとコード進行を構成します。Cメジャーで考えれば、ドミナントはG7ではなくGm7、メロディーでもシ♭を使います。このシ♭はCエオリアンスケールの7度からの借用であり、これが典型的なエオリアの7度の使い方になります。

参考・出典

・「作曲基礎理論 〜専門学校のカリキュラムに基づいて〜」 井原恒平 (Amazon)