
今回は複雑なコード進行を扱う時のベースの動きについて見ていきます。ベースの基本は単音のラインです。どのスケールを使っているのかが直接反映されるパートなのでしっかりと考えていく必要があります。
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分数コード(onコード)に対するベースライン
ルートの連打のみのシンプルなベースラインであれば分数コードへの対応は比較的容易です。2種類以上の音が組み合わさったパターンでは分数コードでない時のフレーズと全体の印象がなるべく近く似るようにします。
分数コードに指定された分母の音が一番はじめに鳴っていて強調されているのであれば、別の音が来ても分数コードとして機能するのでそれほど神経質になる必要はありません。
・一番始めの開始点の音だけ分母に指定された音を優先する。
・雰囲気をそのままに一番近いコード構成音に飛ぶ。
・ペンタトニックで規則性がある場合、最初の音を分母で指定された音から組み立てる。
ペダルポイントではブギウギなどの決まった音型を繰り返すパターンがあります。そうすることでonコード特有の味わいがでます。作曲初心者でもonコードの味を聴かせられるので意識的に取り入れてみるのも面白いでしょう。
ノンダイアトニックコードに対するベースライン
調性外の音があるコードに対しては一時的転調によるものと調性に頼らないコードスケールを元にしたものとが在りますが、どちらの場合にしても、何の調(スケール)を使っているのかを明確に意識してその時ベースラインが従うべきスケールを念頭に置きながら当てはめていきます。
・ディミニッシュスケール(コードスケール)などに関してもこれまでに続いていた動きの間隔(インターバル)や跳ね具合(リズム)を踏襲しながらベースラインをスケールに沿って当てはめていく。
ベースラインが独自のスケールを持つことはありません。一つのコードに使われる全てのパートは一つのスケールに従います。
調性外の音を目立たせたいのか、そうではないのか。ベースはスケール感を決める重要な要素です。オーギュメントコードに対してルートと3rdで対処すればオーギュメントコードを目立たなくさせることが出来ます。自分がどのサウンドを欲しているのかを意識しましょう。
ロック進行のベースライン
ロック独特のコード進行にはマイナースケールの借用やブルーノートスケールなどによるメジャースケールのIII,VI,VIIの位置が変化によって多様性が生まれるコードがあります。この場合、メロディなどと照らし合わせてどのスケールをベースラインに当てはめていくかを検討します。実際にはスケールを確定させる要素が不足する事が多いため、響きの好みでどのスケールを当てはめるのかを決めても構いません。
自分なりのルールを作る
ポピュラー音楽ではわかりやすさが重視されるので、繰り返しやパターンで全体の統一をするのが重要です。同じパターンを維持するために、苦しい箇所でどううまくごまかすかがアレンジャーの腕前となります。きちんと全体の統一感を出すために、どう対処し(ごまかし)、納得がいくサウンドにするか。人それぞれ個性が出る部分です。