ブルーノートとブルース。特性音とスケールについて。

今回はブルースなどで多用されるブルーノートについて見ていきましょう。ブルースはアメリカで生まれた黒人労働歌が元となっています。

ブルーノート(Blue Note)とは

ブルーノートとはメジャースケールのIII,V,VIIを半音下げた(♭にした)音の事です。Key=Cであれば「ミ♭、ソ♭、シ♭」にあたり、このメジャースケールとは異なる音を取り入れたスケールをブルーノートスケールなどと言ったりします。

ブルーノートは横の関係で考えます。III度の音はメジャーかマイナーかを決定づける重要な音、VII度の音はトニック、サブドミナント、ドミナントにも関係してくる音で、これらを♭にすることでその部分を「あいまい」にしているのがブルーノートの特徴です。

ブルースはメジャースケールでもどこかもの悲しさを醸し出しているのは、このブルーノートがもたらすあいまいさから来ていると言えます。

最もよく使われるのがIII♭とVII♭の音で、この二つでブルースの雰囲気が出て、さらにV♭を加える事でJazzyな感じにすることができます。

ハイブリッド・ブルーノートスケールとは

ブルーノートスケールとVII以外のメジャースケールを合体させたスケールハイブリッド・ブルーノートスケールです。

Key=Cならドレミ♭ミファソ♭ソラシ♭です。

シを入れる場合もありますが、入れない方が独特の雰囲気が出ます。

同様にマイナースケールにもブルーノートは存在します。ナチュラルマイナーにブルーノートが加わると、V♭の音が単に加わっただけになります。

Key=Cmならドレミ♭ファソ♭ソラ♭シ♭

になりますが、メジャースケールと違って余り変わらないため特徴がないです。

そのためブルーノートはメジャースケール上で使われることが多いです。

厳密なブルーノート音について

ブルーノートはIIIとVとVIIを半音下げる意味ですが、厳密的なブルーノートは1/4から半音の間ぐらい下げる微妙なニュアンスの下げ幅です。ギターなどの楽器ではこの微妙な音程の下げをチューニングなどで再現します。

ピアノだと正確に再現できないため「ミ♭」と「ミ」を同時に弾いたり、一瞬だけ「ミ♭」を弾いた後すぐに「ミ」を弾くなど奏法に工夫を凝らします。

ブルースのコード進行について

ブルースでは基本的にセブンスコード(○7)だけで成り立つスリーコードを使います。I7、IV7、V7の3つのコードで、Key=CならC7、F7、G7になります。基本のスリーコードが全てセブンスコードなのが大きな特徴です。

V7はこれまでのドミナントセブンスと同様ですが、I7はトニックとして扱うのでトニックセブンスみたいな感じになります。本来はIM7のコードがブルーノートの半音下がりの音でセブンスコードになったものだと思ってください。ブルースではI7をトニック感覚で使います

同様にIV7はサブドミナントとして扱います。まるでサブドミナントセブンスといった感じの響きです。これもIVM7のセブンス部分がブルーノートの半音下がりの影響を受けたものです。ブルースではIV7をサブドミナント感覚で扱います。

これは理論でどうこうよりも、ブルース特有の決まり事として覚えましょう。

ブルースの小節構成

基本的なブルース進行は12小節から成り、1,7,11小節をトニック5小節をサブドミナント9小節をドミナントから始めます。

1,5,7,9,11小節の機能(T,SD,D)は決まっていますが、他の部分は自由に変更可能です。また、機能が決まった小節でも最初の1拍目だけその機能のコードを使えば2拍目以降からは自由に変えることも出来ます。

ブルーノートの使い方

基本となるブルース進行にコード進行を割り当てたら、ツーファイブを取り入れたりして基本形を崩していきましょう。ブルースはセブンスコードが多用されるのでツーファイブに派生させることが容易です。ただ、基本となるI7やIV7はツーファイブとして分解させると意味合いや響きが変わってくるので、ブルースの響きからは外れてしまいます。

I7、IV7、V7、V7、ツーファイブのIIm7以外のコードも使う事は可能ですが、ブルースを意識するのであれば多くのコードは使わないでおきましょう

もともとブルースはI7(C7)という1コードだけで成り立っていました。本当にシンプルに構成されていたのです。

メロディは先ほど扱ったハイブリッド・ブルーノートスケールを使って作ります。ブルーノートはコードスケールの縦の関係とは違い、メジャーやマイナースケールと同様に横の関係で見ていきます。これはどんなにコードが変わっても、大元となるkeyが変わらない限り、使えるブルーノート「III♭、V♭、VII♭」は変わらないということです。

メロディのブルーノートの部分も黒鍵から白鍵に指を滑らせるように、III♭→IIやV♭→IV、V♭→V、VII♭→VIなどのように1/4から半音下げた絶妙な音を意識するような動きをさせたりすると雰囲気が出ます。

ハイブリッド・ブルーノートスケールに存在しないVIIへ解決するような「VII♭→VII」は避けます。

なお、ブルーノート・ペンタトニック・スケールといわれるI,III♭,IV,V,VII♭(Key=Cならドミ♭ファソシ♭)のスケールだけでつくれば簡単にブルースの感覚を持ったシンプルな曲を作り出すことができます。(ペンタとは5のことで、ペンタトニックスケールとは5つの音で構成されるスケールのことです。)

自作資料ページに公開しているダイアトニックスケール一覧表には各スケールの持つブルーノートも記載しているのでご参考にしてください。

参考・出典

ブルーノートスケール(Wikipedia)