ブレイクとキメについて

アンサンブルの中で、全てのパートが一致して(100%協力し合って)同じ動きをする箇所があります。今回はそんなとても大きな効果をもたらすキメブレイクについて見ていきましょう。現代の4分~ぐらいの楽曲(ポップス、ロック)には必ず入ってくる要素で、キメとブレイクがないと曲が単調になってしまいます

ブレイクは流れを止める

バスドラムとスネアドラムは交互に登場することで進行感を作り出す役割があります。もし流れが急に止まった感を表現したいのであれば、行進が止まる時のように左足と右足(バスドラムとスネア)が同時にキッチリ出て止まるという形を取ります。演奏の中でブレイクと呼ばれる無音状態がそれです。

ブレイクを挿入する事によって曲全体のダイナミクス(立体感)が大きく変わります。単調さを払拭する為にも欠かせない要素と言えます。何度も使う事は出来ず、ここぞという箇所でピンポイントで使います

ブレイクはちゃんと意図を伝えなければ聴き手を混乱(心配)させてしまいます。そこでキッチリとブレイクの始まりを示す為に、ブレイクのブロックの最初の強迫にそれまでの各パートの演奏の締めくくりの一打を配置します。無音部の始まりに締めくくりの音が必要になります。

それぞれバラバラに自分の担当を演奏していたのが、全員がみんなと目を合わせる瞬間です。事前に準備をしっかり行い、配置しましょう。

ブレイクは「時間よ、止まれ!」のように、歌詞や劇中の流れでも用いられることがあります

厳密にはブレイクとは言えなくても、今まで目立っていたパートが急に消えるだけでもブレイクと同様の効果が得られます。効果的に作り出すにはコントラストを強調するようにします。騒がしいところとそうではない所のメリハリを作ります。

コントラスト、メリハリを作る例)ドラムだけ残る、ベースだけ残る、リズム隊だけ残る、ギターやキーボードなど一定のパターンを持っている伴奏だけ残る、リードボーカルやコーラスだけが残る

ブレイク中の刻み(ドラム)と復帰へのステップ

ブレイクとはいえ、ドラムだけはわずかに残るというパターンは多く使われています。作曲の意図としては全てが消えているのですが、時間経過を示す基準をわずかにでも残しておくことで安心したい意図があります。抑えめにハイハットだけ刻んだり、1拍毎、2拍毎にハイハットやバスドラムを鳴らす形が一般的です。1拍毎以上の粗さを持つリズムであればウラを打つバリエーションもあります。

ブレイクから復帰する時はフィルイン(オカズ)などで勢いを付けてからが一般的です。フィルインとは呼びにくいごく短いものや復帰の一番頭にクラッシュシンバルを叩くだけなどの場合があり、何かしら目印となる音で勢いづけて元の状態に復帰します

キメという概念

通常の演奏時の一定の型で繰り返されるアクセントパターンではなく、「特定の箇所でリズムフレーズとして効果的に表現されるアクセントパターン」をキメと呼びます。キメはアクセントの集合であり、最大級のアクセントを印象づけるために他の箇所では音を控えます(アクセントにメリハリをつける)。

バンドサウンドではシンコペーションを絡めたリズムパターンが必須です。その場合、ダサくならないようにオモテが勝っているようなリズムにならないよう注意します。

キメに使用する楽器とドラム

キメに使用するのは「ベースはルートのみ+ドラムはバスドラムとシンバル系のセット」が基本となります。ただ、シンバルの種類によってその箇所毎の強さの順位を示すことが出来ます。複数のシンバルを使うことが可能ですが、クローズドハイハットとライドシンバルは控えめな音しか出ずアクセントを示しにくいので通常使われることはありません。普通のドラムセットには2,3種類のクラッシュシンバルがあるので、それを使い回すかオープンハイハットを利用します。

オープンハイハットのように後に音が残るシンバルの後は完全な無音にすることでメリハリを出していきます。そのため、オープンシンバルで叩いた後は即座にクローズドシンバルを叩くことで音(曲)を引き締めます

キメはメインメロディの伴奏として使う事も出来ます。フィルイン(オカズ)混じりのキメのパターンもあります。メロディの符割りとキメのパターンが不必要に一致しないように注意しましょう。両者が独立したものとして受け止められるようにします。