今回はファゴットを扱います。学習中の個人のメモなのでご参考までに。
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ファゴットとは?ドイツ式とフランス式
現在のファゴットの9割はドイツ式の「ファゴット」であり、16世紀中頃に誕生しました。フランス式のファゴットは「バソン」といいます。「ドゥルシアン」はヨーロッパの古楽器で、現在のファゴットの元となる楽器です。
今のファゴットは運指がとても複雑で、キーが多いのが特徴です。年々運指が増えていき、現代のファゴットは29個もキーがあるそうです。
ファゴットのトリル奏法
ファゴットは親指で押さえる箇所がありますが、その中で演奏上できないトリルが出てきます。これは作曲するときに意識しなくてはいけません。指一本でやれるトリルが一番簡単にできるトリルです。一方で、たくさん同時に押さえるような運指は大変です。基本的に穴の離す押さえるを繰り返すことでトリルを再現しています。
■難しい運指
・ある指を離しながら、同時に押さえていた指を離す
・あるところを押さえつつ、あるところを離す
ある指を押さえながら離すトリルが奏者が苦しむトリルで、こうしたトリルを長時間要求するような譜面は避けた方がいいでしょう。ファゴットには不可能なトリルがたくさんあります。これに関しては、運指表で逐一確認しましょう。
ファゴットの上部吹奏(倍音奏法)
ファゴットは大きくなったオーボエといってもよく、形や構造が似ています。ダブルリードで、円錐形をしています。楽器の構造はオーボエと一緒で、特性も一緒なのでかなり似ています。
ファゴットの音域や音色の特徴
ファゴットは低い音、低音部の演奏が苦手であり、低い音域で弱い音量(ピアノやピアニッシモ)を出したかったら、別の楽器を使った方がいいでしょう。
ファゴットは低音部を弱く演奏することが苦手ですが、その代わり音が立っています。音域をみて、フレーズを調整しましょう。
弱い音、強い音は相対的な表現なので、前後の楽曲の流れで音の強弱が決まります。
ちなみにファゴットとは反対に、クラリネットは驚くぐらい小さい音が出ます。
ファゴットは真ん中ぐらいより上ぐらいの音域で使いましょう。
ファゴットの高音域の使用例の話
異端児のストラヴィンスキー「春の祭典」は1オクターブ上のドとレを使ったファゴットの高音域をこれでもかとふんだんに盛り込んだ作品です。当時ファゴットのこの使い方が物議を醸し、サンサーンスはこれはファゴットじゃないと怒ったそうです。春の祭典ではアンチとそうではない人たちとで乱闘騒ぎにまでなったとか。
ワーグナーの「タンコイザー」ではコントラファゴットがベース担当として使われています。「コントラ」がつくのは記譜より1オクターブ下の音を出すこと意味しています。木管にベースを与える役割で、曲に低音を与えています。木管群は優秀な低音が出せる楽器が多いです。
バスクラリネットはかなり下位の音を出せますが、コントラファゴットは実はそこまで下の音は出せません。
音が金管楽器に負けないようにベースを補強する意味でファゴットを低音域で使用したりします。