メロディの展開について 反復の要素

今回はメロディの展開についての知識をまとめました。

メロディと反復の要素

ポピュラー音楽や商業音楽に限定して考えればメロディは覚えやすく歌いやすいものが重視されます。そのためのポイントは反復で、反復の要素は音楽には欠かせません。

楽節に注目する

ポピュラー音楽では2小節のモチーフを基礎にその倍の4小節、8小節、16小節という単位が多いです。特に8小節のまとまりを繰り返すだけでAメロ、Bメロ、サビといったブロックが作れます。また、8小節は音楽として鑑賞可能な最低限の単位と言えるでしょう。

この小節の単位を楽節といいます。8小節や16小節は小楽節といいます。

音楽には反復の要素が必要です。反復が無いと人の脳はそれを覚えきれずにパンクしてしまいます。反復の元となるフレーズをモチーフといいます。ドラゴンクエスト6で使われているすぎやまこういち作曲の「悪のモチーフ」のメロディはラストダンジョンなどにも使われていますね。

2小節のメロディを8小節の中で繰り返すと、作曲上級者で無い限りしつこい感じが出やすいため、繰り返しのフレーズとは無関係なフレーズを組み込むことが多いです。

反復の法則について

よりよく反復構造を作るために、以下の点に注意しましょう。

・メロディの反復を優先し、コードの反復はそれに従う
メロディーはコード進行よりも独自性が出しやすく、反復感も強く感じられる要素です。あくまでもコードは補佐的な役割であり、まずはメロディの反復を優先しましょう。

・符割り(リズム)の方が音の音高よりも優先する。
最低限符割り(リズム)が同じであれば、音の高さが違っても反復感を感じます。音の動きも同じにするとさらに反復感が強くなります。

・私たちの脳はわずかな反復の要素でも反復は感じられる
私たちの脳は反復感を強く感じ取ろうとするため、ほとんど反復感を感じられない動きであっても、わずかでも同一の反復があればそのフレーズを反復感のあるものとして感じます。メロディーの動きさえ同じであればコードチェンジしても問題ありません。音高も違っても、符割りさえ同じであれば充分に反復感を感じられます

反復の基本と変形について

反復の基本は、全く同じメロディに出来るのならそうする、出来ないのならなるべく近い動きをさせる、効果的なら何らかの要素を加えて反復することです。なるべく同じようにするのが反復の原則ですが、ポップスの場合はこの変化の付け方がとても重要になります。どのように変化を付ければ良いのか見ていきます。

・一部の音高を変える
音の動きの一部を変えます。特に最後の音高を一部変えるのは定番の方法で、同じ動きだと思わせて最後に変化を聞かせるのは非常に良く使われています。

・音符を分割したり結合する
長い音符を分割したり、同じ音高の音符を一つにまとめたりする方法です。

・開始のタイミングを変える
元のタイミングよりも早くしたり、遅くしたり、休符を用いたりする変化の付け方です。癖のあるフレーズほど毎回同じタイミングで始まると飽きが来やすいので、それを回避するために使います。

・終わりのタイミングを変える
音符を減らしたり、付け足すことで終わりのタイミングを変える方法です。曲の後半に音符を減らして早めに終わることで余韻を出したりすることができます。

2小節フレーズの使用例

2小節の基本フレーズをAとし、派生形をB,Cとすると以下のような構成が考えられます

AAAA
同じものを4回繰り返すのでくどい感じになりますが、ほとんど動きの無いシンプルで余白の多いモチーフならしつこい感じを出さずにうまくいく構成となります。

AAAB
3回繰り返した後、最も間延びしそうな最後のところで変化をもたらします。

AABC
前半で二回繰り返し、後半に一気に違う転回へ突入します。

ABAB
4小節ひとかたまりが2回続いているという印象をもたらします。

全く別のモチーフを作るには

全く別のフレーズを作るのは意外にも難しい作業です。ついつい似てしまうこともしばしば。ここでは全く別ものとして使うフレーズをきっちりと別のフレーズとして作るためにどうするのか見ていきます。

・符割りを変える
→元が細かい単位なら、休符や長く伸ばす。
→元が2小節単位なら明確に1小節単位。
→8分音ベースなら4分音符ベースに。

・音高の動きを変える。
→元が平坦なら上がり下がりの激しいフレーズを。
→元が上行(下降)進行ならその逆の進行を。

その他:全体のバランスをまとめるために出来る事。

・各フレーズが全体として一つにまとまっている感じを出すためにはブロックごとに独立して考えすぎないようにします。フレーズの最後の音が次のフレーズと繋がっているような順次進行にするか保留が基本です。跳躍をするのなら、元ある聞き覚えのある音に戻ってくる感じで使います。
・最後の楽節の大きな区切りでは、フレーズは伸ばしたり音符を詰め込まないで、小節の持つ余白、空白を多めにとることで余韻や終わりを示します。