ペダルとペダル音について

ペダルとペダル音について

ピアノの足下にあるペダルを踏むことによって、ある音を持続して伸ばすことをペダル音といいます。これによってコード進行に新しいバリエーションがもたらされます。

ペダル音とは、ペダル音の基本原理

コード進行の中で1つの音をずっと持続させることをペダル音、保続音、オルゲンクンプト(パイプオルガンの低音の意)などの名称で呼びます。

元々ペダル音はオルガンにおいて、足の鍵盤を使う時に指ほど素早く動かせないことから編み出されました。そのキーにおいて最も重要な1度音(主音)とV度音(属音)を足鍵盤によって引き延ばす用法が作曲技法の1つとしてペダル音という技法を生み出したと言えます。

基本的には最低音で使われますが、中には最高音や内声部にて使用される例もあります。

また、主音のペダルをトニックペダル属音のペダルをドミナントペダルとも呼びます。

低音域で連続して主音、もしくは属音を引き延ばすのがペダル音です。カデンツとしてはそれぞれI(トニック)とV(ドミナント)が連続して引き延ばされていると解釈します。

ペダル音の上に乗っかるコードは自由に設定できますが、持続するペダル音の上に様々なコードが形成されるため、複雑なテンションコードが使えることがメリットです。

コードネーム表記はベダル音に関係なく上部に構成されたコードネームを書きます。ペダル音とコードネームに何も関係が無い場合もありますが、ペダル音がコードに含まれる必要は無く、コードとして成立しないような場合でもそのキーの主音と属音であればペダル音として成立します。全体の流れとして調のIとVの音であれば大丈夫ということです。結果として不協和音が出た場合は臨機応変に個別に対処していきます。

ペダル音の使い方

ペダル音の使い方をまとめました。

ベースペダル
ベースペダルは最もシンプルで、主音か属音を伸ばしてその上にコード進行を構築するものです。ダイアトニックコードでは特に問題ありませんが、テンションやドミナントコードの発展の裏コード、代理コードを使うと短9度の不協和音が出てしまう場合もあるので注意が必要です。

不協和が出た場合は前後の流れから、一時的な(1瞬の)不協和であるかを判断します。事前に協和音程が準備され、後に続く時に音がきれいに協和音程に解決されるのであれば使うことが出来ます。突然不協和に聞こえないように注意が必要というわけです。使用する楽器によっても不協和音の扱い方の基準は異なり、例えばピアノのように音が短い(音が減衰するタイプの)楽器の場合は不協和があっても一瞬で終わるため許容範囲と考える場合もあります。

どの音を不協和音として避けるのかは作曲家により違いますが、作曲上級者になるほどどの音を不協和にするのか自分なりのルールを持つ事が重要と言えます。

トップペダル/ソプラノペダル
ベースの音を伸ばすのでは無く、コードのトップ音を伸ばす場合はソプラノペダルと呼ばれます。多くの場合は各コードに共通する音を探してペダル音をつくります。コードトーンやテンションの区別無く共通する音を上手に探し出せるかどうかがポイントです。必ずコードの構成音として役割があるかどうかが重要になります。

トニックとドミナントの両方を用いたペダル
トニックペダルとドミナントペダルを組み合わせることもあります。コードの機能としてはトニックになります。2音もあると上部のコード構成音とぶつかる可能性が増えてくるので注意が必要です。特徴としては、分厚い響きを曲に加えることが出来ます。

ペダル音がコードを形成する例外的な用法
ペダル音が3和音を構成している場合は高度な用法となります。ギター、シンセサイザーなどで上部のコードを演奏しつつ、ベースやキーボードで下のコードを変化させていくアレンジが用いられます。ペダル音をテンション、コードトーンとして扱うことでこのような用法が可能となります。

ベース以外のペダル音は主音、属音以外でも可能
本来ペダル音は主音と属音が使われますが、発展的用法として上部で用いられるペダル音はどんな音でも使えるとした用法があります。例えばクラシックの和声学におけるペダル音は保続音と呼ばれ、ペダル音を維持しつつ転調するなどかなり自由な用法が見られます。

ペダル音の修飾
ペダル音はあくまで引き延ばされたコード・トーンですが、修飾として多少の動きをつけることも可能です。