変化和音とは、クラシック音楽で用いられるコード構成音を変化させたコードのことです。テンションを変化させたオルタードテンションとは違い、コードトーンそのものを変化させることでより大胆な響きの変化を得ることが出来ます。
変化和音の種類と使い方
変化和音の使い方として、ナポリの和音(根音が半音下に変化)やクリシェで用いるaugコード(C-Caug-C6 第5音が半音上に変化)が代表的な使い方で、制限無く自由にコードトーンを変化させることが出来ます。
・第5音が変化したもの
最も頻繁に使われるのはドミナントコードにおける第5音が半音上下に変化したものです。テンションが変化したのではなく(13thが半音動いたわけではない)、5thというコードトーンが変化したと考え制限なく自由に使うことが出来ます。変化和音はクラシックの理論ですので、コードスケールはありません。コードネームに囚われずに音の並びをそのまま使います。
・第3音が変化したもの
第3音が変化した変化和音はメジャーとマイナーが入れ替わります。意識的に使うことで、明暗が微妙に揺らいでいくニュアンスを出すことが出来ます。こちらも特に制限なしに使うことが出来ます。ボサノバでよくみられる突然マイナーコードに変化する(II-VのIIで多い)流れは基本的にはこれと同じです。
・第7音が変化したもの。
第7音が変化した変化和音は第5音、第3音を変化させたものよりも用例は少ないですが、クリシェとして用いられることが多いです。
G7-GM7、FM-F7などの流れで用いたりします。クリシェ的に使わなくとも、突然変化させるのも自由です。
・根音が変化させたもの
根音を変化させる変化和音は最も大きな変化を産み、ナポリの和音などがそれです。変化和音では、ナポリの和音に限らず自由に根音を変化させていきます。根音の変化は和音の性質も大きく変化させます。コードネームそのものが変わるので響きのバランスに注意を払います。
・すべての音が変化したもの
コードの中で2つ以上の音が変化することも可能で、極端な例としてコードの音すべてを変化させてしまうテクニックもあります。ダイアトニックコードを任意に全音、または半音上下に変化させます。極めて大きな響きの変化を出すことが可能です。ドビュッシーやラヴェルなどの近代フランス音楽にも同様のテクニックが多数見られます。
変化和音は装飾的な意味を持っています。本来持つコードの響きから一歩踏み出した響きの変化をアクセントに様々な場所で取り入れてみましょう。
参考・出典
・「作曲基礎理論 〜専門学校のカリキュラムに基づいて〜」 井原恒平 (Amazon)