アボイドノート(avoid note)とは避けるべき音の事です。セブンスコードや9以上のテンション音などコードは複雑化の一途をたどっていますが、単純に音を加えて複雑にすれば良いわけではなく、使わない方が良い音というのも存在します。今回はそんな避けるべき音について見ていきます。
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アボイドノートの条件1. 半音ぶつかり(特に上に来る半音繋がりの音)
どんな時にアボイドノートが発生してしまうのでしょうか。それは半音で音がぶつかり合うときです。特に半音上に音が来た時が顕著であり、一気に音が濁ります。
そうした濁りの響きのニュアンスを求めて使おうとしても、半音上に音が来た場合はまるでその半音上の音がコード構成音のように聞こえ、飾りの音では無く主役の音がとって変わられたような違和感を感じさせてしまいます。これは導音と主音の関係になぞらえる事が出来て、半音上に来る音がまるで主音のように感じるからです。
更に言えば、調性内で半音上の音というのは非常に限られています。メジャースケールではIIIとIV、VIIとIの2つのペアしかありません。つまり、IとIVの和音は特に注意を払う必要があります。
ただし、アボイドノートを足した結果新たな別の和音として解釈できる事があり、その場合は何度もそのコードを響かせることで納得感を作り出すことができます。
半音上に音を乗せる場合はその意図を自分で準備しておくべきで、意味も無く半音上に音を置いて濁らせるのは避けましょう。
アボイドノートの条件2. トライトーンが発生してしまう場合
半音ぶつかりほどではないものの、新しく音が加わったことでトライトーンが発生してしまう場合は注意が必要です。トライトーンとはIVとVIIのインターバルの事で、主和音への連結を強く求めるドミナントの和音の持つ不安定な響きを作り出します。VIIの和音の場合はドミナントの代理和音としても使えるように、元々不安定な響きを持つ為IVを加えることでより一層不安定さを求めることが出来ますが、IVの和音にVIIの音を加えてしまうと不安定さが加わってしまい、好まれない響きになってしまうことがあります。トライトーンのアボイドについては感じ方は人それぞれなので、様々な見解や解釈があるのが現状です。
アボイドさえ知っておけばコード構築が楽になる
最低限アボイドノートさえ知っておけばコード構築については自由になります。アボイドノートさえ使わなければ基本のトライアドコードにどんな音も加える事が出来るということです。sus4や6、9,11,13といったテンションを組み合わせれば大規模な和音も作ることが出来ます。
音を聞いた人がコードについて判断するきっかけとなるのはルートであり、ルートさえハッキリと示されていればそのコードのキャラや機能が理解されます。アボイドノートを避けつつ音の厚みのバランスを持ってコード連結が出来れば単純なコード進行を膨らませることも可能です。最初のうちはコード連結の際には半音上の音に注意を向ける事が重要でしょう。