ハーモニックメジャースケール(harmonic major scale)は近年考え出されたスケールで、ロマン派以降の作品からみられるスケールです。ハーモニックマイナーのメジャースケール版と考えると良いでしょう。
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ハーモニックメジャースケールとは
ハーモニックメジャースケールとは、メジャースケールの第6音が下がったものとなります。
第6音と第7音の間に増2度音程があることが特徴です。
3度堆積でダイアトニックコード、そして展開させることでそれぞれの音からコードスケールを導く事が可能です。
主音:ハーモニックメジャー
第2音:ドリアン♭5
第3音:フリジアン♭4
第4音:リディアン♭3
第5音:ミクソリディアン♭2
第6音:リディアンオーグメント#2
第7音:ロクリアン♭♭7
ハーモニックメジャースケールは知名度が低いため、扱わない理論書や存在を知らない音楽家もいます。そのためほとんど聞いいたことのない名前のコードやスケールを持ちます。
基本はこれまでコードスケールでやってきたように、開始音を決めてそこから展開させる事でコードスケールを構築できます。
ハーモニックメジャースケールの使い方
一曲通してハーモニックメジャーを使ったり、ピンポイントに数小節だけ使ったりします。
基本的にコードトーンの半音上はアボイド、全音上ならテンションであると考えます。
ハーモニックメジャーのダイアトニックコード
I IIm-5 IIIm IVm V ♭VIaug VIIm-5
メジャースケールなのに増2度を持っているのが最大の特徴です。メロディや他の声部で増2度を取り入れることで怪しげで不思議な雰囲気を演出できます。実際にはこの増2度を目立つようにメロディの高音部などに配置します。
ミクソリディアン♭2スケールを使うことで、コンディミの調性的な希薄さを回避しつつ♭9th,13thのテンションを使うことが出来ます。こうすることでポップス的なサウンドでもダイアトニックコードが使えるため、耳になじみやすくなります。
ちょっとしたアクセントとして曲のハーモニーを多彩にするテクニックの1つです。
■メロディックメジャースケールは存在しない
ハーモニックメジャーがあるのならメロディックメジャーも作れるのでは?と思いますが、
メロディックメジャーは
ドレミファソラ♭シ♭ド
とミクソリディアン♭6スケールと全く同じなので、ミクソリディアン♭6として使われます(メロディックメジャーの独自性は特にありません)。
参考・出典
・「作曲基礎理論 〜専門学校のカリキュラムに基づいて〜」井原 恒平 (Amazon)