インターバル(音程)について

作曲や音楽を理解するために最も重要なのが音程(インターバル)についての理解です。今回はこの音程を扱います。インターバル(音程)とは、音と音の間の距離を表す言葉です。基準となる開始音をルートと呼び、そのルート音と該当する音の距離を度数で数えます。

音の確認とインターバルについて

ここで一旦全ての音を確認してみます。ドレミファソラシドの位置は鍵盤でイメージしてもらった方が分かりやすいでしょう。

図:鍵盤と音の配置

お手元に鍵盤を用意するか、鍵盤をイメージしてみてください。小学生の頃使った鍵盤ハーモニカでも充分です。音の名前はイタリア語読みの「ドレミファソラシド」英語読みの「CDEFGAB」があります(英語ではAがラです)。現代のポピュラー理論(コード理論)はジャズ理論から派生しているので英語読みは必ず覚えましょう。ギターなどのコードも原則英語読みです。

音には半音関係の同音異名を含め「ド・ド#/レ♭・レ・レ#/ミb・ファ・ファ#/ソ♭・ソ#/ラ♭・ラ・ラ#/シ♭」の全12音があります。シの次は基準となる最初のドから1オクターブ上のドと言います。この12音の音名と場所を基準にして、相対的に「1度 2度 3度 4度 5度 6度 7度 8度」と#と♭の概念を除いた2音間の距離を度数で呼びます。

1度 ドとド(同じ音)
2度 ドとレ
3度 ドとミ
4度 ドとファ
5度 ドとソ
6度 ドとラ
7度 ドとシ
8度 ドとド(1オクターブ上の同じ音)

学びたての頃ですと、ドとドが1度であることに慣れないかもしれませんがこれは慣れて貰うしかありません。しかし度数だけではドとソ#(5度?)、ドとミ♭(3度?)といった半音ズレの#と♭の関係を示すことができないので、ここで音程という考え方を使います。

音程の種類

音程には3種類あり、それぞれ度数が決まっています。

完全音程 1度、4度、5度、8度
長音程・短音程 2度、3度、6度、7度
増音程・減音程 全ての度数

その際、半音の数が重要になってきます。
右に1回半音進むと長→増音程
左に1回半音進むと短→減音程
となります。

1度、4度、5度、8度は完全音程しかありません
完全音程は
右に1回半音進むと完全→増音程
左に1回半音進むと完全→減音程
となります。

ドとド#の関係を考えてみます。音名は同じ「ド」なので度数から考えれば1度です。しかしこれだけでは増なのか、減なのかがわかりません。そこで、半音が何個あるのかを考えます

この際、鍵盤上で鳴る音と理論では音の考え方が違うことに注意してください。ドが♭になっても鍵盤上ではシですが音楽理論では同じドとして扱います。これは解釈の問題となりますが、ドに#がついてレ♭と同じ音になりますが、理論ではド#として扱う場合はドとド#は1度、ドとレ♭は2度として扱うことを念頭に置いてください。

今回の場合、度数では同じ1度のドでも#がついたド#です。鍵盤をイメージしてもらうと、ドとド#との間は半音1つ離れていることがわかります。#がつき、右に1つ半音が増えているのでドとド#の関係は増1度となります。

インターバルを表す記号の読み方

インターバルは記号で表されます。読み方は以下の通りです。


P○:パーフェクト○th、完全○度
M○:メジャー○rd、長○度
m○:マイナー○rd、短○度
aug○:オーギュメント○th、増○度
dim○:ディミニッシュ○th、減○度

半音で測る音程と度数:異名同音程,複音程,転回音程

半音で音程と度数をまとめると以下です。
完全1度,減2度  半音0個
短2度      半音1個
長2度,減3度  半音2個
増2度,短3度   半音3個
長3度      半音4個
完全4度,増3度  半音5個
増4度,減5度   半音6個 ◆重要音程 全3音(トライトーン)
完全5度 半音7個
増5度,短6度 半音8個
長6度,減7度   半音9個
増6度,短7度   半音10個
長7度,減8度   半音11個
増7度,完全8度  半音12個 完全8度はオクターブ
増8度      半音13個

増4度や減5度のように、名前は異なるけれど同じ音程幅を持つものを異名同音程といいます。

オクターブを超える音程は複音程といいます。ドと1オクターブ上のファの関係は11度ですが、ドをオクターブ上に持っていくことでドとファは完全4度なので、この場合完全11度であると判断できます。

転回音程はある音程の上下関係を入れ替えることです。ドからソに登っていく音程だとドレミファソと5度ですが、1オクターブドを上げてソに下っていく配置に転回するとドシラソと4度の関係に変わっていきます。上下を入れ替えることの法則・規則性として以下のものがあります。

足すと9になること 転回前と転回後の度数は必ず9になる。
1度 → 8度
2度 → 7度
3度 → 6度
4度 → 5度
5度 → 4度
6度 → 3度
7度 → 2度
8度 → 1度

音程が入れ替わること
完全音程 → 完全音程
長音程 → 短音程
短音程 → 長音程
増音程 → 減音程
減音程 → 増音程

協和音程と不協和音程

音楽理論における協和音程、不協和音程は必ずしも現代人の耳に汚く聞こえる感覚とは一致しません。音楽理論が確立した頃の不協和音と、現代人の持つ感覚としての不協和音は一致しないのです。

協和音程
完全協和音程 → 完全1度、完全8度、完全4度、完全5度
不完全共和音程 → 長3度、短3度、長6度、短6度

不協和音程
穏やかな不協和音程 → 長2度、短7度
鋭い不協和音程 → 短2度、長7度、すべての増・減音程

不協和音程は主にジャズで使われる音程です。ジャズでは美しく上品なサウンドを作り出すのに不協和音程がたくさん使われています。音楽理論が成立した当時はこれらの音程は不協和であると禁じ手となっていても、今では一般に許容されているのですね。音楽においては感覚が時代とともに変化しているのです。

参考・出典

・「作曲基礎理論 〜専門学校のカリキュラムに基づいて〜」井原 恒平 (Amazon)
音程(Wikipedia)