ピカルディ終止とはマイナー調の最後の主和音がマイナーコードでは無くメジャーコードに変化したものです。変化するのは3度の音で、これはピカルディの三度と呼ばれる音です。音楽が神聖なものと結びついていたバロック時代に生まれ、ピカルディとはバロック音楽の時代に栄えたフランス北部の地域の名前です。
音楽が神聖さや宗教と結びついていた時代
古い時代のクラシック音楽の理論では、メジャー調こそが完全なる音楽の構造を持つとされていました。マイナー調は人工的に生み出されたもので、宗教や神聖さと音楽を結びついていた時代では、メジャー調こそが神が人に与えし完全なる音楽とされていました。マイナースケールは人工的に生み出された不備を内在するものとして考えられており、曲の最後に不備のあるImを置くのではどうもスッキリとは終われない感覚があったのだと考えられます。
実際ドミナントセブンスコードがメジャーの主和音に解決する際はトライトーン(Vの3rdと7th)が半音進行して綺麗に収まりますが、マイナーの主和音に解決する時は(Vの)7thの音が主和音(Im)の3rdに解決する時に全音移動しなくてはなりません。
そのため、マイナー調の曲であっても最後の主和音はメジャーコードにしようとマイナーコードの3rdの音を半音上に動かしたのがピカルディの3度と呼ばれる音であり、ピカルディ終止と呼ばれる手法になります。
マイナーの主和音が登場すると期待されるタイミングでメジャーの主和音が登場する感覚を覚えておきましょう。また、ピカルディの前はドミナント以外にsus4が来る場合もあります。