マイナーコードのテンションボイシング

テンションボイシング概要 テンションを取り入れたボイシングについて

今回はマイナーコードのテンションボイシングについてです。テンションボイシング全体についてはこちらの記事をご参考ください。メジャーコードのテンションボイシングについてはこちら

マイナーコードのテンションボイシング

エオリアン、ドリアン、フリジアンスケール上にあるマイナーコード上に当てはめるテンションボイシングは9thと11thの2種類になります。

マイナーコードにおいても9thが入る場合は根音を省略する基本原則が適用されます。ベースに根音を弾かせたりしますが、add9コードの場合は根音も同時に鳴らしたりします。

マイナーキーはトニックマイナー(Im)を使うことが出来るので、ボイシングにバリエーションが出来ます。具体的にはナチュラル、ハーモニック、メロデックの3種類のマイナースケールのI度のトニックであるIm7,ImM7,Im6のコードが使えます。これらのトニックマイナーとテンションを組み合わせることでたくさんのボイシングが作り出せるのが特徴です。

マイナーコードの9thは第3音と短2度でぶつかるので、どう処理するかが重要です。マイナーコードのadd9は第3音と短2度でぶつかって鋭い不協和音を作り出しますが、内声に埋めることで美しい響きを得ることが出来ます

マイナーコードにおける11thはメジャーにおけるsus4と同じ音程関係となります。トニックマイナーにおいて11thを入れるときは原則通り第3音を省くことが多いですが、フリジアンにおいては第3音を入れて第5音を抜くこともあります。

どちらにせよ、自分なりに響きを聴いて確認して自分なりの使い方や解釈を持つ事が重要です。

マイナーフラットファイブコード/m-5のテンション・ボイシング

マイナーコードの中で、マイナーフラットファイブコードは主にロクリアンスケールに当てはめて考えます。使用できるテンションは11thと♭13thの2種類となります。そして「○m-5」と「○m7-5」の2種類のコードが代表的なコードとなります。

3和音のm-5は減5度が非常に目立つコードで、不気味な・不協和な感じを強調したBGM以外ではあまり用いられない傾向があります。逆に言えばこの不気味さを出したければ積極的に使っていきましょう。

4和音のm7-5はポピュラー音楽でもよく使われます。特にメロディックマイナーのVIm7-5ではロクリアン#2というコードスケールが使われ、9thの扱いが根音と取って代わるようになります。

マイナーフラットファイブコードにおいて11thを使う時は、11thと第5音の短2度を避けるために第5音を抜く場合がほとんどです。第5音を残した短2度のぶつかり合いを含んだものはほとんど使われません

♭13thを使う場合も第5音が省略されます。ロクリアンスケールにおける♭13thのボイシングはジャズではよく使われますが、ポピュラーではあまり見られません。理由は、例えばCメジャーでBm7-5のシレファラに♭13thのソを加えると、ソシレファラとなり、G7(9)の響きのように聞こえるからです。

11th同様に♭13thが使われる場合も4和音のm7-5の形態が多いです。3和音のBm-5で考えた場合、ソを入れるとG7と同じになってしまい、G7の転回形のBm-5(♭13)=G7/Bになってしまいます。コードの独自性について意識すると良いでしょう。

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参考・出典

・「作曲基礎理論 〜専門学校のカリキュラムに基づいて〜」 井原恒平 (Amazon)