今回はメロディの観点から見た音運動について見ていきます。
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メロディと音運動のかたちについて
メロディとは様々な個別の音符が横並びになったものです。聞き手にとってメロディは単音に聞こえ、音色の移り変わりでメロディを楽しんでいます。ある音が音高を変化させていく様子を音運動といって、メロディはこの音運動によってもたらされます。音運動には以下のようないくつかの分類があります。
跳躍進行:2つ以上先の音高へ飛んで移動する
保留:同じ音高が続く
特殊順次進行:二つ先へ行ってから隣に戻る
音運動は感覚的な結びつきによってメロディに聞こえます。その際、より強力に結びついた感じ、弱い結びつきの感じなどの印象の違いが出ます。強力な繋がりを作り出したいときは順次進行、弱い結びつきなら跳躍進行を使います。(もちろんリズムによっても途切れは作り出せます。)
コード進行は物語で言うシーンの状況設定、メロディは中心人物のセリフや行動に例えられます。メロディの音高の動き方の方がリズムと比べるとズレたときのおかしさが目立ちやすくなります。
使っていい音といけない音(アボイドノート)について
メロディの音遣いでは、その時の和声、コードによって使っても良い音といけない音が決められます。基本的に使用したコードの構成音は全て使える音で、半音ぶつかりの音はアヴォイド(avoid note)として避けます。
コード構成音以外の音をノンコードトーンと言って、順次進行をしてコードトーンに繋がることを解決といいます。順次進行のもたらす強い結びつきを前提にしてノンコードトーンを取り入れることが可能となります。跳躍進行の中でノンコードトーンを使うのは場違いな、違和感を感じさせるような響きになります。
順次進行以外にも前のコードにとってノンコードトーンだったとしても、そのまま保留して次のコードのコードトーンに解決することもあります。ノンコードトーンを使う時は跳躍進行をさせないようにしましょう。
コードトーンとコードトーンの間はいくら跳躍進行しても良いのですが、メロディらしくまとめたいのであれば、跳躍進行の連続は避けた方が良いです。順次進行の合間に時々跳躍進行を挟むような使い方が良いでしょう。
符割りとメロディについて
符割りと音高の変化でメロディができあがります。その時の注意点としては、長い音符はその意味が非常に重く感じられるので、ノンコードトーンを伸ばしたりするのは避けましょう。コードトーンでノンコードトーンは支えられています。ノンコードトーンの長さは直後のコードトーンが支えられる程度に抑えましょう。
音の幅について
曲の全体を考えるにあたって、高低の最大幅も考慮する必要があります。ノンコードトーンや符割りのバランスが上手く出来ても、盛り上がりの部分が最初の音程から3オクターブも上にあるのではバランスが悪いメロディとなります。そのため、1フレーズ内の音の幅の目安としては最大でも1オクターブにします(稀に長9度ほどの幅までは存在します)。