作曲技術・精神【備忘録的メモ】

ここでは作曲を学び実践していく中で気づいたことや学んだことのメモを簡潔にまとめていきます(随時更新)。個人の備忘録的なメモのページなので読むのには向いてません

大前提・最も重要な事

作曲技術は積み重ねである。とにかく毎日作り続けることが肝要。
耳コピは作曲の最大の勉強。学ぶことは真似ること。人の真似を恐れていてはいけない。

全般

サブドミナントは宙に浮いた感じがする。
・全然違ったメロディにするためには符割り、リズムを変える。
・1度のトニックと、5度のドミナントだけでたいていの曲は作れる。
・まずは2小節ずつのブロックで作ってみる。
・初心者はごちゃごちゃとメロディを置きがち。スペースを広く取って、ゆとりのある方が歌いやすい。
・メロディに対して様々なコードパターンの候補が選べる。
・洋楽っぽくするのであればメロディはあまり動かさないこと。メロディは動かさず、コードを変えて飽きさせないようにするのが洋楽っぽさを出す秘訣。
・メロディを激しく動かすと歌謡曲っぽくなる。
・構造、設計図を考える事で、感性だけに頼らないメロディができる。
・最初から完璧を目指さない。耳コピも同様。最初はみんなできなかった。出来なくて当然。うまい曲が作れなくて当然。
・構造を意識しながら曲を作るだけでだいぶ上達する。
・サビの語源はわびさびから?サビ以外をヒラとも言う。Aメロ、Bメロはその名の通りメロディブロックの順番を示している。現代日本では4ブロックぐらいの凝った曲が多い。
・8小節まで作るなど枠をまず決めてから作ってみる。もちろん完璧は目指さないこと。

・今何のコードを使っているのか、など意識するだけで感性に頼らない曲が作れる。これは気分の波に流されないために大事な事である。
・ノンコードトーンをよく使えば大人っぽい音楽(ルパン三世)。コードトーンばかり使うと子供向けの純粋素朴な音楽(アンパンマン、ドラえもん)。
・シンコペーションも大人っぽい音楽には必須の要素。逆にシンプルで純粋な曲を作りたいのであればシンコペーションを無くせば良い。

・ルートを鳴らすと音響学的にも5度高い音が聞こえる。それと同様に3の音も鳴らすと5度高い7度の音が聞こえるはずであるが、7度とルートは近く、ルートを鳴らしているため7度の音はかき消される。
・ルートと5度、完全5度はあまりにも仲が良いため、どんな過酷な状況でも一緒に居られる。従って、エレキギターなどで低音のパワーコードとしてよく使われる。

・現代の聴衆はあまりにもメジャースケールとマイナースケールに親しんでいるので、私たちの耳はある種の洗脳状態にある。よって、エスニックな独特のスケールの感じを保つためにはひたすらベースでその音、例えばレで始まりレで終わるのならレを鳴らし続け、ドなどの西洋音階で言うダイアトニックスケールの中心、トニックを感じさせるような音は危険な音として極力使わないのがポイントとなる。

ゼノギアス オリジナルサウンドトラックより 作曲:光田康典 エスニックさを保つためのベースの音の響きに注意して聴いてみよう

・どんなスケールも主音という中心を作り出すという目的は同じ。種類の異なるスケールでも同じ主音を支えるのであれば同じ目的を持ったスケールと言える。

作曲やメロディづくり関連

・初心者ほどメロディをギチギチに詰めてしまい歌いにくく覚えにくいメロディを作ってしまう。
・フレーズ感が重要。特にメロディの占める小節の幅が広いのは初心者の証。隙間を埋めないと不安になるから。作曲玄人ほど余白やメロディに空きを持たせる。
・同じメロディでも広く幅を持つ贅沢な使い方、余裕がないギチギチな使い方など違いが出る。もちろんギチギチな方は満員電車みたいに息つく暇が無いぐらいのメロディとなる。
・クラシックはわざとメロディを詰めたりしている。これは器楽的メロディ。
・歌モノとの違いは、歌モノは人が歌えるようにゆったりと余裕を持ったメロディやリズムであること。
・メロディのリズムを決めるのは開始音の符割り。
・コードを変えすぎるのはこだわりすぎて作曲者として仕事をしすぎた例。
・同じコードを連続で使用することも試して見る。
・シンプルなコード進行で骨組みを作った後発展させて行く。
・単純にコードの数を増やせば良いという訳ではない。
・必ずしも8小節の中で完結させなくても良い。
・少ないコードでバリエーションを考えてみる。

背景・雑学・歴史

日本人は歌が好き。コードという概念は生まれなかった
・西洋はゴシック式、石で出来た建物(聖堂)があり、声を出すとよく響いた。そのため和音という概念が生まれた。
・情報量が多いメロディとは、メロディで自分自身を多く語っているイメージ。これは日本的で、歌謡曲的なものの特徴。あっさりとしたメロディとは、例えば病院で隣の人と天気の話しをしていてそれが延々続くけれど、メロディ自身や中身のことは余り語られていない、という感じ。
・昔は単純にAメロ、Bメロだけで作られていた曲もあった。
・洋楽ではサブドミナントを多用しているものが多い。具体例としてポリリズムなど。メロディもいつまでも終始しない感じ。

コードについて

3和音の形が一番安定した響きとなる。4つの音を加えるとどこかぶつかるところが出てくる。ぶつかるのは小説や映画が全員ハッピーエンドで終わらないのと同様、大人っぽさを出すいい要素である。

■セブンス C7
不安定。もともとルート,3rd,5thの3人のバンドメンバーのチームに7thが5thに紹介されてメンバーに入れて貰った感じ。5thと7thは仲が良いが、ルートと3rdの音は関係がギクシャクしている。不安定な響きであるトライトーンを活用するために使う和音。

■マイナーセブンス Cm7
マイナー4和音コードの中で一番安定している和音。5thの紹介で7thの音は和音バンドに参加することになるが、3rdの音という音楽の趣味も何もかも共通した最高に相性が良い相手が見つかり(完全5度音程)、さらにルートとも少し距離があるので最高の安定感を誇る4和音のイメージ。

■オーギュメントセブンスコード Caug7
本来オーギュメントコードに何か音を付け加えることは少なかった。なぜなら別の和音の変形として解釈される方を優先するから。もし付け加えるとするなら7thの音を付け加える。ちなみにオーギュメント3和音はdimコードと同じく全体の種類は少ない(4つほどしかない)。

■ディミニッシュコード Cdim7
本来4和音で使われる和音である。短3度で音を重ねると3つではまだ一周回った気がしない(4つめの音も鳴っていそうな感覚になる)。4つの音を使う事で綺麗に縁を一周することが出来る。そのため全部で3種類しか存在しない和音。実質長6度の音が7thと言われているが、これは役職名3度に3th,1度にroot、5度に5th(減5度)のため、7の音も減7と解釈されているだけ。増や減はこういった名前を整理するときに使われるのである。示すには丸いサークル(○)の記号がよく使われる。

■ハーフディミニッシュコード Cm7♭5
マイナーセブンフラットファイブコードの別名。ディミニッシュコードの減7、実質6度の7thを短7度の本来のセブンス(ルートから全音下)の音に戻す(?)ことによって作られる。ディミニッシュコードと非常によく似ているけれど、ディミニッシュでは無いため○印にスラッシュ(/)線が入った記号が使われる。

IIm6,V7,VIIm7♭5の和音がそのスケール上で特有のトライトーン(増4度関係 Key=Cの場合ファとシ)を持つ。トライトーンはその不安定さから早く解決したい性質を持つ。つまり、I,VIm,IVM7に解決出来るのである。トライトーンを意識するとドミナントのバリエーションが増える。

マイナースケール

・普通にコードやピアノを弾いて作曲すると、どうしてもメジャースケールに聴こえてしまう。平行調の関係でもメジャースケールが有利に聴こえる。選挙演説で本人(主音)がいなくても応援者がいるとそっちに注目してしまう心理と同様に、基本的にはメジャースケールの応援が印象強く残る。
・また、調は主和音を使わなくてもドミナントセブンス(V7)コードが鳴っていればそのドミナントセブンスの主和音の調という印象を受ける。
・従ってマイナースケール調でも導音を作り、ドミナントセブンスの和音を用いればIの和音が無くてもマイナースケールっぽい暗くもの悲しい雰囲気を作ることが出来る。

・マイナースケールにおいて、主和音を使わずに調を安定させるために、7の音を半音上げ、導音を追加したハーモニックマイナースケールが誕生した。しかし西洋のマイナー、メジャースケールに洗脳された耳では第6音と導音との間に出来る増2度の音程が気持ちよくない。従って第6音も半音上げたメロディックマイナースケールが誕生した。

・ハーモニックマイナーによって、IIIaug、V7、VII#dimの和音が産まれる。この和音はでたらめに使って良いわけでは無く、基本はナチュラルマイナーのIの和音に向かう。なぜなら、ナチュラルマイナーを安定させ、確実なものとするためにハーモニックマイナーが考案されたのであるのなら、その発想の土台となる主和音へ向かうのは宿命のようなものである。簡単に言えば、導音を解決することが生まれ持った宿命と言うこと。

・メロディックマイナースケールは産まれた理由がハーモニックマイナースケールによって産まれた導音と第6音との間の増2度音程を解消するためにある。従って半音上げられた6の音は7の導音に向かうのが必然となる。メロディックマイナーで新たにIIm7、IV7、VI#m7(♭5)、VII#m7(♭5)の和音が生まれるが、ドミナントセブンスの音に向かうのが宿命となる。6の音が7の音に解決するのが最も自然な流れであり、形となる。

その他

・ハーモニックマイナーはアラビアっぽい感じを与えるが、特にそれを狙わなくても普通に曲の中で使われている。メロディックマイナーも同様。エスニックっぽく聴こえるのは私たちの耳がメジャースケールとマイナースケールの楽曲に慣れているため。
・上記のハーモニックマイナーとメロディックマイナーの注意として、それぞれのスケールに特有の音を解決させる事を述べたが、順次進行では無く、離れて音が接する場合には違和感が出ないようになる。例えばKeyAのなかのソ#ファミレドシラのようなメロディ。音同士が近ければ近いほど、違和感が出てくる。
・マイナー系の和音はコードを細かく工夫した感じのポップス的な曲作りに使われる。
・サブドミナントマイナーの最も重要な解釈は、メジャースケールの中でのマイナースケールの借用和音というもの。

ドリアンスケールについて

・ドリアンスケールはフォルクローレなどに使われ、どこか西洋民族の香りがする。結構好きな人が多いスケール。古代の民族、どこか地方の民族のイメージ。ただ、ドリアンスケールはナチュラルマイナーの7度メジャー調とその平行調の5度マイナー調をそのマイナー調のI度の音から並び変えたものであるため、なるべくVIIとVの音は使わないようにする。そして、ベースにひたすらIの音を鳴らして、メジャーとマイナーの二つの調とは違ったドリアンらしさを強調する。

・クラシックの曲を作るときは和音進行などのルールをしっかりと守ること。先ほどのこの音はこの音に進むべき、という宿命を背負っている音は必ず、素直にその音に進行させること。コレが出来ていないと、なんだか上辺だけの浅いものになってしまう(なんちゃってクラシック)。

リズム

・8ビート、16ビートというのは音楽ジャンルによって大きく使用頻度が異なっている。結局はリズムの単位で、1小節の中の四分音符(1拍)を何等分したかである。8ビート、16ビートの両方なれる曲も存在する。8ビートを刻んでいる時に、16ビートのメロディが歌う人のクセでつい入ってくる場合などがそれ(Mr.Childrenの楽曲など)。
・3連ビートは12ビートとも言うことが出来る。ただ、8ビート、16ビートほどには呼び名は浸透していない。
・3連ビートの最後、つまり2つ目の裏拍を無いものとすると、軍歌のような曲になる(参考→空手馬鹿一代
・使いたいビートを意識して作るには裏拍を強調して、鳴らす。例えば16ビートのウラで音を鳴らせばその曲はどうやっても16ビートの曲にしか聴こえなくなる。
・最近の人はリズムに関する感性が磨かれていて、16ビートのウラを後方に少しずらす事によって跳ねているリズムを感じ取ることが出来る。昔はずらした事を強調するために最後の拍にハネのリズムを仕込んでいた。

一時的転調について

・セカンダリードミナント上にその一時的転調特有のメロディを使うかどうかが大きな分水嶺に。西洋以外の音楽では歌謡曲として活かすためにその転調先の調の特有音を用いることが多い。
・50代から60代の中高年の方には歌謡曲的なアプローチが有効であり、逆にリズム&ブルースのような西洋的な曲を作るのならメロディに特有音を使わず、なおかつメロディもあまり動かさないようにした方が良い。
・セカンダリードミナントはあくまでゲストである。あるキーの世界があって、そのキーの住民(和音)を親分とすると、それらの子分がセカンダリードミナントである。なお、セカンダリードミナントはメジャー調、マイナー調のどちらの世界にも行ける。つまりKey=CにおけるE7からはAmともAとも行ける。
・I7からIVに行く時は要注意。ただでさえ主音と紛らわしいので、I7が2小節続いたりするとそれだけでIVが主音の調になってしまったのかと聞こえてしまう。
・主音は自分の世界(調)を守るためにしっかりと子分を連れた親分(和音)どもを管理監督しなければならない。
・どんなに一時的転調が使われていなさそうな曲でも、II7→V7→Iの進行はよく使われる。別にIIm7でも良いが、転調による色彩感はII7を使った方がより加わる。
・セカンダリードミナントの見極め法として、Iとする和音の基本形を押さえて、その5thをドミナントとする方法がある。ドミナントとする和音の基本形を押さえて、その3thから半音上の音を主音とする方法もある。
・VIIの和音はVIIm(♭5)という主音の形を成していないためセカンダリードミナントの解決先の「仮のI」として使われない。VIIの和音を気にかけるよりも、よく使われる5つの親分子分の「ドミナントセブンス-IorIm」のペアを覚えた方が良い。

一時的転調:II-V ツーファイブ進行について

・II-VのIIはスムーズな進行を促すために用いられる。例えばKey=CにおけるB7はレ#とファ#という二つの調整外音が出てくるが、F#m(♭5)を用いることによって調整外音がファ#ひとつだけの状態から徐々にB7を導くことが出来る。このようにIIのサブドミナントはV7への滑らかなつながり、説得性を持たせるために用いられる。従って、何もII-Vの繋がりでIIにこだわる必要も無く、それ以外のサブドミナント和音であるIVや短調における♭VIなどのコードも使える事になる。一時的転調をII→Vまで広げることによって、コード進行のバリエーションが大幅に拡がる。

全般:その他

・メロディについて、歌謡曲的なものを目指すのならメロディだけで無伴奏でもコードが分かるように積極的に動かし、非調性音も使おう。西洋風を目指すのであれば、コードを工夫しメロディは余り動かさないこと。

・セカンダリドミナントは導音を求め、ドミナントモーションを求める伝統的な西洋音楽の手法。
・マイナー調の借用和音(サブドミナントマイナーなど)は敢えて導音を消し、ドミナントモーションを無くす要素を取り入れる近代的な発想。
・ドミナントモーション至上主義は西洋の伝統的な音楽を象徴するもの。マイナースケールの借用和音はドミナントの音(導音)を打ち消す響きを持つ為、より新しい響きをもたらし、ブルースやロックといった今に繋がる音楽に結びつく事になった。
・コードが先で、コードで設計図をまず構築するイメージ。
・耳コピは重要。お手本や見本となる先人達の感性を耳でたくさん食べる。食べなければ作れない。
・符割りを常に意識する。まずはシンプルなコード付けが出来るようになることが重要。
・それこそ最初はCメジャーの曲で充分。
・どうせ移調すれば同じこと。ひとつの調で徹底的に作ってみるのもアリ。
・歌ものは順次進行のメロディにする。歌いやすくするため。
・フレーズの反復をするには、イロハニの型を思い出す。
・あくまで符割りのテクニックは飽きてしまった反復を逸脱させるため。まずは普通の聴きやすい、シンプルな構成の、料理で言えば塩味だけの曲を作れるように練習する。曲全体の統一感を意識する。
・メロディの統一感を作る。例えば順次進行ばかりしているメロディに一つ音を抜かしただけで、ペンタトニックなど別のスケールのように意図せずなってしまう場合があるから気をつける。
・意味のある反復、ここぞというときの跳躍を行う。
・繰り返しの要素がポップス的な感覚を生む。
・どうしてメロディやコードはこの動きを取ったのか説明できるようにする。
・シンコペーションをするのなら、シンコペーションを最後まで貫き通す。中途半端にシンコペーションを入れない。
・IIIの和音から始めたり、何かしら普通とは違う事をする場合、どうしてそれをしたのか理由や理論的裏付けがないといけない。意図的に作曲をし、構成をしよう。そうじゃないと学んだことが活かせないし、作曲経験からも学べない。
・ドミナントとして機能するためには主和音が必要。調を決めるものがあるべき所に無いと、何の調だか分からない頼りない曲になる。同じく、調を決めるために早い段階でその調に特有の音をメロディなどに含ませるのが良い。
・ブロックの変わり目や終わり、境目は例えるならば大晦日なのでメロディを休ませるように意識する。具体的にはあまり音符を置かず、隙間が出来るようにする。そうすることで終わった感じが出る。
・統一感は相対的な印象によるものなので、全体的に順次進行であればそこを変える事が変化を付けることになる。
・物語を紡ぐ感覚で曲を作る。
・ころころコード進行を変えないこと。コードを変えるということは曲を進展させること。頻繁にコード進行を変えていると落ち着きの無い曲になってしまう。2小節や4小節のフレーズ単位でひとまとまりのコード進行を構築する。
・アニソンっぽいとは声優ありき!伴奏は控えめに!歌を引き立たせる。そうすることで分かりやすく、聴きやすくなる。曲の中で何を目立たせたいのかを意識する。
・夢で作曲したメロディは実際の音にするとそれほどでもないらしい…。