これまで代理和音を利用した一時的転調についていくつか扱いましたが、今回は本格的転調について、より具体的にピボットコードを用いた方法で転調する方法をまとめます。
目次 index
復習:本格的転調とは
転調には、代理和音を活用して一時的に調から離れた音を取り入れる一時的転調と、一時的では無くブロック単位のまとまりで調を変える本格的転調がありました。一時的転調ではあくまで元の調に戻ることを前提にバランスを考える必要がありますが、本格的転調では元の調に戻る必要はありません。
本格的転調と転調先との関係
との調に転調するかで転調の感覚が大きく変わってきます。
例えば、Key=CとKey=Gでは「#」1個の違いしかありません。このような調号が一つしか変わらない調への転調はとてもスムーズな流れになり、転調による断層感も少なくなります。
逆にKey=CからKey=F#への転調は「#」が6つも異なるため、大きな調の変化(断層感)を伴う聴覚的印象をもたらします。
こうした元の調と調号の変化が少ない、近い調を近親調(関係調)などと呼びます。反対に遠い調は遠隔調と呼びます。
近親調の種類
・同主調:同じ主音を持つKey。同じ主音を持つメジャーとマイナースケールとの関係。
・平行調:同じ調号を持つKey。Key=AとKey=F#mなど
・属調:基準とする調の5番目(ドミナント)をトニック(I)とするKeyとその平行調。Key=CならGが属調で、更にGと同じ調号を持つEm。
・下属調:基準とする調の4番目(サブドミナント)をトニック(I)とするKeyとその平行調。Key=CならKey=FとFと同じ調号を持つDm。
トニック終止からの転調
トニックはどのコードにも進行できる特性があり、この特性を活かして転調する方法がトニック終止からの転調です。極論すれば特になにも考える必要は無く、トニックの次には自由なコードが使えるので自由にどんなKeyに移っても構わないということです。
セカンダリー・ドミナントを用いた転調
転調予定の始まりのコード(仮のIのトニック)の前に、それに対してのドミナント=セカンダリードミナントを用いて転調する方法です。セカンダリードミナントのトニックへつき進む勢いを活かした転調です。
セカンダリードミナントの部分のメロディーには配慮する必要があります。アボイドやコード構成音に無い音は使わないなど、うまくメロディとコードをマッチするように工夫すれば、ツーファイブに分割して活用することもできます。さらに、裏コードを用いることでコード進行の可能性を広げられます。
ピボットコードを用いた転調
ピボットコードとは、異なるKey同士に共通するコードのことです。(ピボットとはバスケットボールをプレイした方は馴染みもある、ステップを踏む時に軸にする動かさない片足のことです。)
Key=Cのダイアトニックコードに含まれている「FM7,Dm7,Am7」のコードはKey=Fのダイアトニックコードにも含まれています。このような共通コードをピボットコードと良い、この共通コードを経由してそのまま転調してしまうのがピボットコードを用いた転調です。
ピボットコードは近親調ほど数が多く、遠隔調になると少なくなります。
平行調はピボットコードだらけなので、お互いのKeyを自由に行き来できます。同主調の場合は、ピボットコードの代わりにサブドミナントマイナーを用いてKey間を行き来する感覚です。
メジャーとマイナーの全てのKeyのダイアトニックコードを覚えていない方は、資料・付録ページを活用してみてください。