ロックの構造 ブルースから生まれた世界を席巻した音楽

ロックの構造 ブルースから生まれた世界を席巻した音楽

ファッションや思想としてのロックとは別に、音楽構造としてのロックはどういうものなのかについて見ていきます。

伝統的な西洋音楽=導音とドミナントモーション重視からの脱却

伝統的な西洋音楽は導音、すなわちドミナントモーションを重視する時代が長く続きました。結果として新しい時代の作曲家が新しい表現を求め導音を無くし、ついには調性そのものがない音楽へとクラシックの世界は発展して行きました。

ロック音楽はブルースから発展したものです。アメリカ大陸に渡った西洋音楽はブルースと出会うことでより聴衆に親しみ易いものへと変化して行きました。導音やドミナントモーションは旧態依然としたダサくて古くさいものとして遠ざけられ、より理解しやすいシンプルな構造にまとまっていきました。

むしろ導音から距離を置いたブルーノートの響きは新鮮でカッコよく人々に受け入れられました。一部の教養のある人達の音楽では無く、市民が普段から親しみを持てる音楽としてロックは発展して行きました。

ロックを作るための定番コードとは

そうした日々の生活で好きになれる導音を軽んじた音楽としてロックでよく使われるコードというものがあります。マイナー調の借用和音とブルーノート、つまり導音やドミナントモーションから離れた♭IIIと♭VIIの響きを持つコードです。

ロックの定番コード
I,♭III,IV,V,♭VII

このコードはダイアトニックスケールと同様にロック音楽を構成するためには重要なコードになります。ロックはかなり乱暴に言ってしまえば導音を軽んじるシンプルな音楽なのです。

ギターが果たした役割とは

アメリカ大陸でレコードが登場するようになると、メキシコから渡ってきたギターは一気にメインの楽器に躍り出ました。ギターは、コードを演奏できますし、歌を歌う時の伴奏楽器としても力を発揮し、一つのコードの形を覚えればルート違いが弾ける万能楽器でした。

元々アメリカで根付いたブルースとギターが合わさることで、ブルースは様々な発展をして行きます。ブルースに明確なリズムを加えたリズム&ブルースやテンポ感の要素を増したロックンロールが生まれました。レコードの発明でロックスターが爆発的な人気と名声を手に入れることができ、ブルースが広まりギターも多くの人の興味をひく楽器となりました。ロックンロール登場以後のサウンドの中心はギターへと移っていきました。

ラジオの普及も手伝い多くの人々がギターを手にした事で、ギターで弾きやすいみんなが知っているようなコード進行がロック独特のコード進行を形作ることとなりました。

ギターの演奏のしやすさが形作ったロックらしさ

多くの人の手に渡ったギターですが、その結果としてギターの構造上の演奏のしやすさがロック特有の音作りに影響を与えました。以下の特徴を持ちます。

メジャーコードでまとめあげる:全部メジャーコードで楽曲を構成します。
長2度のずらし:ギターを持つ指の形をそのままにコードチェンジします。半音ずらしは導音(伝統的な西洋音楽っぽさ)を連想させる為ありません。コードを引いている手を横にスライドさせるだけのコードチェンジです。
完全4度下への連結:手の指の形を変えるだけの簡単なコードチェンジです。ギターでは手の位置が同じで指の形を変えると完全4度の繋がりが起こりやすいです。

こうしたギターの演奏しやすい特性と導音とドミナントモーションを軽んじる♭IIIと♭VIIの響きを持つのがロックの構造となっていきました。

ロック的なコード進行まとめ

まとめると、

長2度の上下による連結
I <=> ♭VII
IV <=> ♭III
V <=> IV
終止は♭VII => I

4度下への連結
♭III => ♭VII
♭VII => IV
IV => I
(I => V)
終止は IV => I

がロック的なコード進行になります。主和音は全てのコード進行の終着点であり、主和音からはどこへでも行けます。

そして庶民にも拡がった敷居の低い音楽であるロックは、2小節や4小節のコード進行を繰り返すことで大きなブロックを形成しました。限られた演奏技法の中で曲を作るとしたらこうしたシンプルな知っているコードを繰り返す流れに傾きやすいのです。ロックの元となったブルースも繰り返しの要素が強い音楽です。クラシックは構成や発展を重視するので対照的ですね。

導音を無くした結果、主和音を主和音たらしめる要素に乏しいロックは、どんなコードも主和音になってしまう可能性があります。そのため、分かりやすい箇所に主和音を繰り返し使う事が重要です。これをしないとロック的なコード進行になりません。出だしと終わりに主和音を必ず配置しましょう。