【コード(和音)理論】 3和音/4和音/シックスコード

今回は作曲理論で最も活用されるコード(和音)について扱います。コード(和音)とは、音を縦方向にある一定の間隔で積み重ねたものです。これらの知識は演奏家にとっても、作曲家にとっても自由自在に音を操っていく上で欠かせない知識です。

和音の基礎となるのはトライアドコードと呼ばれる三和音ですが、それよりも構成音が多い四和音、五和音、六和音などもあります。90年代以降では三和音のコードだけで作られている楽曲は極めて稀であり、実用的な作曲には四和音がもっともよく使われています。

インターバル(音程)の知識が必要なので、理解が不足している方は以下の記事を参考にしてください。→音程について

前提として、すべての和音(コード)は一番下の音を根音=ルートと考えます。ルートはコードを構築する上での土台となる音です。それぞれ音程の積み重ねの感覚の違いで特徴や様々な種類のコードが構築されるので、着実に覚えていきましょう。
 

3和音/トライアドコード

まずは基本的な3和音から考えていきましょう。3和音は3つの音で構成されるため、トライアドコードといいます。
(*以下説明のため全てルート音(根音)は「C(ド)」で例を出しています。)
 
■メジャートライアド/長3和音/○,○maj/R+M3+P5(*以下○,Rは根音を表しています。)

メジャートライアド(長3和音)

メジャートライアド(メジャーコード)は根音から長3度、そこから短3度積み重ねた和音です。聴覚的には明るい印象をもたらします。上記の例では根音のCをそのままとり、Cと表記します。「根音の大文字(ルートのアルファベット)」で表します。
 
■マイナートライアド/短3和音/○m,○-/R+m3+P5
マイナートライアド(短3和音)

マイナートライアド(マイナーコード)は根音から短3度、そこから長3度積み重ねた和音です。主に「根音の大文字+m」で表します。聴覚的に暗い印象をもたらすコードです。
 
■オーギュメントトライアド/増3和音/○aug,○+/R+M3+aug5
オーギュメントコード

オーギュメントコードは根音から長3度で二つ積み重ねた和音です。「根音の大文字+aug」で表します。
 
■ディミニッシュトライアド/減3和音/○m-5,○dim,○m♭5/R+m3+dim5
ディミニッシュトライアド(減3和音)

根音から短3度で二つ積み重ねた和音です。ディミニッシュコード、マイナーフラットファイブコードとも呼ばれます。「根音の大文字+-5」と表記します。
  
■サスフォーコード/sus4/R+P4+P5
サスフォー(sus4)コード

sus4コードは3度の音の代わりに4度の音が加わったものです。明暗を決める3度の音が無いために、明るくも無く暗くもない中立的な、どことなく宙に浮いた感じのコードです。「根音の大文字+sus4」で記載されます。よく使われる用法は、「Csus4 – C」「Csus4 – Cm」のように後ろに同じ根音のトライアドコードを配置し、コード構成音の「4度→3度」の流れをスムーズに演出したりします。(Cの場合はファ→ミの流れ)
また、次に紹介する4和音になりますがルートから短7度(m7)の音を加えたセブンスサスフォー(○7sus4)というコードもあります。使い方は同様です。
 

インターバルがコードを規定する

以上、まずは基本となる3和音全てをルート音C(ド)で説明しましたが、コードは構成音のインターバル(音程)でその種類が決まっています。それぞれのコードには決められた音程があり、例えば「ルート、M3、P5」の間隔で配置すればメジャートライアドになります。DであればDメジャースケールの「レ(P1)ミ(M2)ファ#(M3)ソ(P4)ラ(P5)シ(M6)ド#(M7)」なので「レ(ルート)ファ#(M3)ラ(P5)」が求められます。全てのスケール、調(Key)を暗記していれば、そこから直ぐに求められますが、ルート音からインターバルを計測して積み重ねて目的のコードを作ることが出来ます。
 

4和音/7の和音/セブンスコード/付加6の和音/シックスコード

3和音にもう1つ音を上に積み重ねた和音が4和音です。根音から見て7番目の音を加えるので、7の和音、セブンスコードとも呼ばれます。4和音より上はテンションとして扱います。
 
■メジャーセブンスコード/長7の和音/○M7、○△7、○△、○maj7

メジャーセブンスコード

メジャートライアド(長3和音)にルートから数えて長7度の音(M7)を加えた和音です。メジャーセブンスと呼ばれます。「根音の大文字+M7」で表記します。根音とM7の部分が半音(短2度)でぶつかり合うために、メロディを作る上では注意が必要な和音です。3rd~M7が完全5度なので安定した響きです。

響きとしては明るく透明感のある印象で、オシャレにしたいときに使ったりします。
 
■セブンスコード/属7の和音/○7 *超重要!

セブンスコード(超重要)

長3和音に短7度の音を加えた和音です。セブンスと呼び、「根音の大文字+7」と表記します。別名ドミナントセブンスコードと言われ、作曲において非常に重要な働きをする和音です。理由は、3rdと7thの音の間に減5音程が生まれるからです。この減5音程を全3音(トライトーン)と呼び、不安定な響きをもたらします。この不安定な響きを持つセブンスコードが主音のコードに移動する(解決する)ことで調の力場が明確に示される感覚が得られます。ドミナント(dominant)は支配するという意味で、曲の流れを大きく支配するコードです。
 
■マイナーセブンスコード/短7の和音/○m7,○-7
マイナーセブンスコード(短7の和音)

マイナートライアド(短3和音)に短7度(m7)の音が加わった和音です。マイナーセブンスコードと呼びます。「根音の大文字+m7」で表記します。3和音のマイナートライアドと比べると、暗さが多少和らいだ印象です。これは3,5,7にメジャートライアドが出来るからです。
 
■マイナーセブンスフラットファイブコード/減5短7の和音/○m7-5、○m7♭5、○φ
マイナーセブンフラットファイブコード

減3和音に短7度の音が加わった和音です。マイナーセブンスフラットファイブ、もしくはハーフディミニシュシュ(主にジャズ)の呼び方があります。「根音の大文字+m7-5」で表記します。転調やマイナースケールで大活躍します。
 
■ディミニッシュコード/減7の和音/dim,dim7
ディミニッシュコード(減7の和音)

短3度堆積のみで構成された和音です。ルートから見たm7の音の更に半音下の減7の音程を加えます(♭♭になる。)。ディミニッシュ、ディミニッシュセブンスなどのように呼ばれます。このサイトでは「根音の大文字+dim」で表記します。3和音のディミニッシュトライアドもdimと表記されることもありますが、それと区別すべく4和音はCdim、3和音はCm-5(マイナーフラットファイブ)と表記します。とても不安定な響きで、緊張感や盛り上がる場面でここぞというスパイス的に使われたりもします。(モーツァルトのピアノソナタなど。)不気味な雰囲気を作り出せるコードで、特徴的なインターバルからディミニッシュコードのスケールも作られています。

ディミニッシュセブンスは実質的には長6度の音が加わっており、ルートから減7度の音(正式な幅より更に半音狭い♭した幅=長6度)がセブンスとして加わります。ルートから5thと3rdから7thの間にそれぞれトライトーンが加わるので極めて不安定な響きです。

ディミニッシュセブンスは全ての構成音が等間隔に並んでいるので4組ずつの異名同音が存在します。コードの種類も3種類しかありません。
1,Cdim=E♭(D#)dim7=F#(G♭)dim7=Adim7
2,C#(D♭)dim7=Edim7=Gdim7=B♭(A#)dim7
3,Ddim7=Fdim7=A♭(G#)dim7=Bdim7

本来の7thの短7度を加えたものはマイナーセブンス♭5の形で扱われます。三和音のトライアドでは違いが出ませんが、セブンスを加える事で初めて違いが出せる和音です。

 
■オーギュメントメジャーセブンスコード/増5長7の和音/○augM7,○M7+5

オーギュメントメジャーセブンスコード

増3和音に長7度の音が加わった和音です。オーギュメント・メジャーセブンスと呼び、このサイトでは「根音の大文字+augM7」で表記します。
 
■マイナーメジャーセブンスコード/短3長7の和音/○mM7,○mmaj7,○-△7
マイナーメジャーセブンスコード

短3和音に長7度の音が加わった和音です。Cが根音の場合はCマイナーメジャーセブンスと呼び、このサイトでは「根音の英語大文字+mM7」で表記します。マイナースケールや転調で多く使われます。3rdとM7との間の増5度音程が不安定な響きを作ります。
  
■シックスコード/付加6の和音
付加6の和音とは、シックスコードといい、根音から長6度(M6)の音を加えた和音です。長3和音と短3和音のみに存在します。
 
■メジャーシックスコード/○6
メジャーシックスコード

メジャートライアド(長3和音)に長6度(M6)の音が加わった和音です。シックスコードと呼び「根音の大文字+6」と表記します。構成音を並び変えると6thに当たる音をルートとしたマイナーセブンスコードとも捉えられるので微妙な暗さをもたらします。
 
■マイナーシックスコード/○m6
マイナーシックスコード

マイナートライアド(短3和音)に長6度(M6)の音が加わった和音です。マイナーシックスコードと呼び「根音の大文字+m6」と表記します。3rd~6thの間にトライトーンが出来るので不安定な響きとなります。

 
和音についてはC以外のルートを持つ音でも即座に分かるようにしておく必要があります。アルファベットで表されるコードネームを一目見て、#,♭がついていたとしても、直ちに構成音を答えられるようにしておく必要があります。

コードの転回形

コードをキーボードで演奏する際は右手でコード、左手でルートを押さえます。4和音コードなどコード構成音が多くなる場合にはコードのルート音を省略して、根音は左手やベースに任せます。

ルート以外の構成音は自由に転回することが可能です。転回は音の上下を入れ替えることで、転回したとしても構成音が同じであれば同じコードとして扱います。

ルートは最も低い音であることが条件です。コードはルートを元にして構成されるので、ルートは一番低い音であることを守ります。(一番下の音が変わるとコードも変わる。)

伴奏としてのコード演奏の場合、コードの部分のトップ音(トップノート)は上下させずにつなげた方が綺麗に響きます。メロディではないので、メロディのように主張しすぎないように配置することがポイントです。

コード自体をメロディとして扱う場合(コード自体を主役として扱う場合)はトップノート上下させてもそれが曲としての躍動感や盛り上がりを演出するので、自分の意図を持って配置しましょう。

コードを覚える法則

コードはインターバルが決まっています。ルート音からインターバルの各音には以下の法則があるので参考にしてください。

ルートをCとした場合のインターバルの図

・ルートの半音下は「M7」、全音下は「m7」
・「M3」の半音下は「m3」、半音上は「P4」
・「P5」の半音下は「b5(dim5)」、半音上は「aug5」、全音上は「M6」

上記の図はルートCですが、C以外のルート音でも対応できるようにしましょう。